認知症になったら何科を受診?専門医の探し方や見極めのコツ教えます

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Medical doctor in front of a computer

認知症の疑いがあったり、実際に症状が認められたら、どこの医者にかかれば良いのでしょうか?

多くの方の疑問であると思います。

実際、「認知症専門医」として看板を掲げているところは少なく、反面、認知症が得意そうに装っているクリニックがあるのも事実です。

認知症は、知ることが大事です。知ることで不安から解消され、ご家族が患者さんに対して正しい選択ができ、後悔しない介護をすることができます。そのための活動の一環として私は現在年間50回ほど全国で講演をしています。

その際に良く聞かれるのが、「地域でお勧めの認知症の先生を教えてください」という質問です。残念ながら全国に知り合いの医師がいるわけでは無いので、お答えできないことがあります。

日本中でこのようにお困りの方はおおぜいいらっしゃるはずです。

そこで今回の記事では、専門医長谷川嘉哉が、地域の中での認知症の専門医の探し方をご紹介します。これから検査を受けようと思っているご家族の方や、現状のクリニックに疑問点がある方はぜひご一読ください。

1.何科にかかればよいか

とても簡単な質問なんですが、認知症はこれが難しいのです。お勧めの科とみなさんがもつ誤解をご紹介します。

1−1.最もお勧めは神経内科

私が神経内科専門医であるからではないのですが、認知症を診るには最も適している科です。内科疾患が原因で認知症のような症状を呈することがあります。認知症の診断と同時に、内科的なアプローチができる神経内科はまさにうってつけです。

ただし、神経内科が診察する分野は、認知症以外の変性疾患や脳血管障害など多岐にわたります。なかには神経内科医であっても認知症の診察が嫌いな人がいるから困りものです。

1−2.精神科は条件がある

よほど、幻覚や妄想と言った症状が強い以外は、最初に精神科に受診することはお勧めしません。内科的なチェックができないことが第一です。また、幻覚妄想に対してもどうしても抑制が強くなる傾向があります。ただし、私も年に数例は、幻覚・妄想・暴力行為がひどく、精神科の先生にお願いすることがあります。

1−3.近年できた老年科の特徴

最近、小児科に対する老年科という科もあります。老人を総合的にみるという概念は素晴らしいです。しかし、その中で老年科医が全員認知症の知識・経験を有しているかというと疑問が残ります。「何でも診れるは、何にも診れない」につながることもあります。

1−4.一般病院の脳外科は適さない

勘違いされていることが多いのですが、一般病院では脳外科医は認知症は診ません。あくまで外科的な手術がメインになりますから、ゆっくりと認知症を診ているようなことはありません。但し、脳外科の先生が開業すると認知症にしっかりと取り組まれる方が多いようです。

1−5.認知症サポート医=専門外の証明かも

認知症サポート医という資格があります。

これはどのようなものかというと、高齢者が慢性疾患などの治療のために受診する診療所等の主治医(かかりつけ医)がいます。この方々が、適切な認知症診断の知識・技術を習得するための研修を受けた後に得られる資格のことです。そう聞くと心強く感じますが、残念ながら認知症を専門としている医師は受けません。言い換えれば、認知症が専門でない証明ともいえます。

資格を妄信するのではなく、この記事でお伝えしているポイントでチェックしてみることをおすすめします。

2.大病院をおすすめしない理由

通常、癌や心臓疾患にかかった場合は、大学病院や地域の基幹病院にかかります。機材もスタッフも豊富な印象があるでしょう。ならば、認知症も大病院にかかればよいのでしょうか? そうとは言えない理由をここではお伝えします。

hospital waiting room

遠かったり、待ち時間も多いなど、負担も少なくありません

2−1.大病院は認知症の受診には向かない

私も地域の基幹病院で働いていたことがあるのですが、認知症の受診には向きません。大病院は何しろ患者数が多いのです。満足な診察時間も説明に時間をかけることもできません。大病院で数回検査をしてから、紹介状を持って近医に戻されることが多いようです。そのため患者さんのご家族の満足度は低くなるようです。

2−2.認知症を診ているのは地域の診療所

認知症の診断には時間がかかります。通常初診であれば、1時間は必要になります。再診でも数か月に一度はやはり時間をかけた検査が必要になります。このような細かい対応ができるのは地域の診療所です。

2−3.製薬メーカが驚く「抗認知症薬」の処方の少なさ

認知症を診ているのが診療所であることは、抗認知症薬の処方量でも推察できます。

認知症以外の分野の薬は、大学病院や地域の基幹病院が上位に来るのですが、認知症の分野は、大病院はランクインせず、地域の診療所が上位に来ています。当院も、岐阜県の人口6万人に満たない小さな市で病床を持たずに開業していますが、全国では10位以内に入っているようです。

3.何を診てほしいのか、はっきりさせてからかかろう

認知症の外来をしていると、ご家族によって医師に求めていることに違いがあることに気が付きます。皆さんも受診の際に何を診てほしいか頭を整理されことをお勧めします。以下にご紹介します。

3−1.診断をしてほしい

家族的には、現状ひどく困ってはいないが、認知症であれば早めに診断をしてほしいというケースです。最近はこのケースが増えてきました。しかし、極めて初期の段階は、診断に手間がかかり見落とされることも多いようです。当院でも、地域の基幹病院では問題ないと言われてから、それでもセカンドオピニオンのためと受診され、ここで早期認知症の診断をするケースは多々あります。

3−2.認知症の現状を、維持・改善してほしい

認知症であることはご家族も納得されています。今の症状を維持・改善してほしいというご家族です。現在の医療であれば、早期から中等度であれば、ある程度認知症の薬で維持・改善することが可能です。そのためには、初診時および投薬後の評価が必要です。大病院では、この評価に時間がかけられないようです。当院では最低でも三か月に一度は、評価をしています。

3−3.介護を楽にしてほしい

介護を楽にしてほしいという希望です。これは、認知症が相当進行して、幻覚妄想と言った周辺症状が出現した場合です。いくら介護サービスで工夫をしても限界があります。そんな時に、メマリーを中心とした処方で周辺症状をコントロールすれば、すべてが解決します。

4.専門医がわからない!その場合にできる認知症医師の探し方

結局のところ認知症は、肩書や医療施設の規模ではなく、現実に患者さんを診ている医師を探すことが大事なのです。そのための方法をご紹介します。

4−1.メマリーの処方量

認知症の治療、特に周辺症状のコントロールにおけるメマリーの重要性は当ブログで再三ご紹介しています。私は月に1,000名の認知症患者さんを診ています。その中で、メマリーなしでは診療は成り立ちません。従って、メマリーをたくさん処方していることは、「認知症患者さんがたくさん受診していて、適切に治療していること」を意味しています。そのため知り合いがいない地方では、メーカから処方の多い診療所を教えてもらいご紹介することもあります。

以下の記事では、認知症になったときによく処方される薬について解説しています。薬の効果だけでなく医師の知識を知る目安にもなりますので、気になった方はぜひ参考になさってください。

専門医が教えるアルツハイマー薬の全知識&5つの使い方重要ポイント

このようなキメの細かい処方をしてくれるか、というところは判断材料となり得ます。

4−2.ケアマネージャー(ケアマネ)

認知症の正しい診断・対応をされないとご家族以上に困るのがケアマネです。ケアマネは制度上の教育システムが整っており、認知症についての知識も持っています。正直、勉強していない専門外の医師よりは優秀です。主治医が認知症の診断をしなければ、介護度も低く出てしまい、満足なケアプランが組めなくなります。

そのため、地域のどの医者が認知症をしっかり診てくれるかの情報はしっかり持っているものです。当院でも本当に多くのケアマネさんから患者さんをご紹介いただいています。

4−3.介護経験者

過去に、認知症の患者さんを診ていたご家族のご意見ほど確かなものはありません。本当に困ったときに、適切な対応をしてくれたか否かは、一生心に残るものです。近所や知り合いにいらっしゃたら紹介してもらいましょう。

5.診察室の中で見極められるポイント3選

医師が認知症についての知識・経験があるかは診察室の中での患者さんからの質問に対する対応で分かります。質問に対して、怒ってしまうような医師は、主治医を変更しましょう。ちなみに、認知症専門医の知識を測るには、以下の3つに分けて質問されることをお勧めします。

5−1.医療的知識

医師としては最低限の知識です。診断は認知症であるのか? 認知症の種類は? 認知症の進行レベルは? を聞いてみましょう。その後に治療プランを確認しましょう。その時に、理由もなくアリセプトを漫然と処方する時は、疑問を持ちましょう。

医師は、得意な分野の質問には丁寧に答えてくれるものです。ここで、ごまかしたり不機嫌になるのは、人間性というより単に知識がないだけかもしれません。

5−2.介護的的知識

認知症は医療的な問題よりも介護的な問題が重要です。どのように対応すればよいのか、介護サービスの使い方についても質問してみましょう。時には現状での自宅での介護の可否まで意見をもらえると信頼できるものです。

5−3.社会的問題の知識

認知症は、医療介護以外にも社会的な問題があります。運転を続けて良いのか? 契約能力はあるのか? 成年後見人をつけることができるのか? これについても、質問してみましょう。

Senior couple on consultation with a doctor, close up

どのような質問にもわかりやすく的確に答えてくれ、コミュニケーションが取りやすい医師を見つけましょう

6.まとめ

  • 認知症は、肩書や医療施設の規模でなく、現実に患者さんを診ている医師を探すことが大事です
  • そのためには、メマリーの処方量、ケアマネ、元認知症ご家族の意見を参考にしましょう
  • 診察室では、医療・介護・社会的対応のバランスを持った知識・経験を持っているかを確認しましょう。
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