転ばぬ先の杖 - 認知症専門医 長谷川嘉哉のブログ

認知症専門医師 長谷川嘉哉 ドクターズブレイン 長谷川嘉哉

シルバーデモクラシーby寺島実郎

投稿日:2017年6月9日

寺島実郎さんの新刊、"シルバーデモクラシー"を読みました。
講演内容で聞いていた内容が詳しく書かれており、
個人的は、良い復習になりました。
本からご紹介します。
1) 同じ一億人でも『1966年の高齢者が700万人しかいない1億人』と2040年代後半の『4000万人が高齢者の1億人』の状況の違いを理解すべき
2) アベノミクスなる、金融政策に過剰依存した経済政策を支える「リフレ経済学はすでに破たんし、経済の根幹たる『経世済民』、つまり国民生活における所得も消費の改善もしないまま、マネーゲームが肥大化している。
3) アベノミクスの恩恵を受けるのは、資産を保有する高齢者と円安メリットをうける輸出志向型企業
4) このような環境下でも、とりわけ高齢者が「株高誘導」に期待してアベノミクスを支持している。まさに民主主義が資本主義を制御し得ない状況になっている。
5) 民主党政権の失敗は、団塊世代の失敗であった・・15人以上の団塊の世代が大臣・副大臣・党三役として参画
6) 本気で福祉大国を志向するならば、高等学校、大学での教育課程に福祉施設等での実習を義務付けるなどの国民的取組が必要
7) 団塊世代が、戦後日本という環境に培養され、身につけてきた価値観を集約的に表現するならば、「私生活主義(ミーイズム)」と『経済主義(拝金主義)』と言える。
8) 最近の選挙は、『国の在り方を問う根本問題よりも、生活と経済が大切という国民の本音の壁に弾き返された。この傾向が続けば、まさに『老人の老人による、老人のための政治』となるであろう。
9) 二極分化する高齢者の経済状態
・ 約20%(700万人)が、金融資産1000万以下、年収(年金+所得)が200万以下の下流老人
・ 約15%(500万人)が、金融資産5000万円以上、年収(年金+所得)が1400万以上の金持ち老人
・ 残りの約2200万人の中間層老人が、「病気・介護・事故」を機に下流老人に没落する事例が急増
10) 都会と田舎の高齢化は違う!・・問題は都会の高齢者
・ 田舎には田舎なりの強みがある・・至近距離に第一次産業がある
・ 農業を抱える田舎ほど、1人暮らし老人の比率が低い

私の働く岐阜県土岐市は、結構これからの時代も大丈夫?
と安心する内容でもありました。
お勧めです。

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カテゴリー:書籍社会

感動感動感動、 『夕あり朝あり』by三浦綾子

投稿日:2017年5月29日

学生時代、三浦綾子さんの本は何冊も読んだものです。
特に、氷点や塩狩峠など
題材や切り口に驚いたものです。
そのため講演で、旭川に呼ばれた際も
迷わず、三浦綾子記念館に立ち寄ったものです。
今回は、お知り合いから
"夕あり朝あり"を紹介されました。
この本は、日本で最初のドライクリーニングを手掛けた、
白洋舎の創設者、五十嵐健治氏の生涯を、
三浦綾子さんが、自分語りの伝記としてまとめた一冊。
もともとは、五十嵐氏と知己を得た三浦綾子さんが、
生前、肺結核と脊椎カリエスを病んで療養してた時に
許可を得て書き始めたもののようです。

本の中から紹介します
1) 女というものは温かいものなんですなあ。一見つまらぬそのお喋りが、家庭にとってどんなに重要なものか、それがわかるのは、それを失ってからなのですなあ
2) 明治の頃の洗濯業というのは、残念ながら世間から評価をされていなかった。川柳にも、"洗濯屋近所の垢で飯を食い"
3) みんながやりたいと思う仕事よりも、むしろ遠ざけるような仕事をしてみようと思った
4) 私は元来楽天家というのでしょうか、不可能を想像するより、可能を想像する。もう成功したような心地で、地にも足もつかずに帰ったのです。
5) 「物事が思うようにかない」ということは、実は人生の中にあって、必ずしも悪いことではないのですな。
6) 経営のみならず、技術の面においても慎重さと謙虚さを与えられるように祈り求めた。
7) 独占ということは、いずれの面でもあまりいいことではありません。競争者があって、初めて教えられるところが多いのです。
8) 責任を取るということは、死ぬということとは別ですな。与えられた命を充分に生きてこそ、本当の意味で責任を取ることになる。

感動のあまり、一気読みでした。お勧めです。

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カテゴリー:書籍

またまた的中!? 『団塊のあと三度目の日本』by堺屋太一

投稿日:2017年5月10日

自分は、ことある事に、堺屋太一さんの『平成30年』をお勧めしてきました。
小説の中の出来事は、堺屋さん自身も
『残念ながら当たってしまった』というほど的中していました。
今回、2017/4/22の堺屋さんの最新作『団塊のあと三度目の日本』は
東京オリンピックが終わった、2026年が舞台です。

本からご紹介します。

1) 第一次世界大戦と二次世界大戦の約20年間、世界各国と失敗した。諸外国は独裁の失敗。
日本は、全権を握る独裁者がおらず、権限を分け合う官僚の無責任無定見による失敗だった。
2) 戦後日本の敗戦の本当の原因は、国民意欲の低下(欲ない、夢ない、やる気がない)が原因
3) 3ないの原因は、『超安定による不胎化現象』、自分の遺伝子を残したいという本能の喪失。
4) 『二つ目の仕事』で豊かになるものは豊かになる。特技を磨けるものは特技を磨く。それが、「一つ目の仕事」にも役立ち、積もり積もって国の活力を磨く。
5) 自動運転システムをつかって、タクシー全部に後続車追走自動運転装置をつけると、代行運転と違って二人いく必要がなくなる。
6) 住宅モーゲージで当たっている会社は、担保価値の低いとされているマンションを抵当にとり、介護サービス付き高齢者住宅に改装している。
7) 既に、全国住宅の過剰や医師の過剰が話題になっている。団塊の需要を当て込んで造りすぎたものだ。
8) 天国を創ってしまった日本:天国の住民は、天国から落ちまいとして必死になり、余所者をいれないように仕組みを守るのが大変。そして何よりも、天国にはさらに上に上る階段がない。
9) 日本は、『為替の悪くなり競争』に負けて、円高傾向
10) 官僚機構はどの政治家の敵でも味方でもない。官僚は常に官僚機構にのみ忠実なのだ。
11) 選挙と州都造り・・これが21世紀の『ええじゃないか踊り』になるよ。
12) 昔は、『地方が保守的、大都市が革新的』といったが、今は逆。大都市近郊の団地族こそ高齢で保守的、『「静かに死ねる」年金させもらえれば』という、『喰うために生きる族』だ。
13) 明治の日本は『強い国』を目指し、戦後日本は、『豊かな国』を目指した。これから始まる『三度目の日本』は『楽しい国』を目指す。

これから10年に参考になる本です。
20年前に『平成30年』を読んでから
金・外貨を買い続けました。
お陰で、金は相当の含み益を得ることができました。
外貨についての現状は
『為替の悪くなり競争』でうまく説明されています。
相当お勧めです。

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カテゴリー:書籍

必読!『大暴落ガラ』

投稿日:2017年5月8日

幸田真音さんの『日本国債』や高橋是清を題材にした『天佑なり』といった著書を読むと
債券市場や金利との関係を小説仕立てで理解することができました。      
2017/3/8には、新作『大暴落ガラ』が発売されました。   
あらすじは、"豪雨で荒川が決壊、東京都心が洪水に襲われる。                                 
その夜、「日銀の債務超過」というニュースが流れ、円と国債が大暴落――。   
初の女性総理・三崎皓子はこの危機から日本を救えるのか?"   
いつ地震が起きてもおかしくない現状では、洪水を地震と置き換えても良いかもしれません。

本から紹介します。

1) かつて国債を中心とする債券市場は、政府や金融当局が誤った政策を勧めようとするとき、
「暴落」という形をとって強く警鐘を鳴らす存在だった。
2) 市場の洗練や成熟を望んでいたはずの金融当局の手によって、
まさか今日のように市場が破壊されてしまうとは、だれが予想しただろう。
3) 機関投資家というものは、不透明感を嫌う。
先々が読めないような事態が起きると、より安全な分野へ資産を避難しようと考える。
4) FRBやECBのバランスシートがGDPの20%台なのに、日銀だけが100%に近付いていた
ついに、日本の中央銀行である日本銀行が、債務超過に陥った!
日銀が債務超過になれば、我が国の通貨である日本円そのものの信用が失墜して暴落するのは当然。
日本国民も円を持ち続けることに不安をもつと、国内からも円の流出が起きかねない。
5) これまで政府と日銀が手を携え、大量の国債やETFを買い入れ、かろうじて市場を支え、
体裁を繕って山積みする課題を力づくで押し込めてきた。そんなマグマが支えきれなくなって噴出しようとしている。
6) 東京発の世界恐慌か?日本経済の終わりの始まりか?
7) 日本人は勤勉よ。災害のたびに打たれ強くなっている。復興の兆しは確実に見えているし、日銀の財務強化ももちろんやる。この後は間違いなく円高に向かうわ

小説というより、前もって対策を立てるために指標になるような本です。お勧めです。

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カテゴリー:書籍

もう騙されない・・経験談の寄せ集めはエビデンスではない。

投稿日:2017年3月17日

医療の現場では、
原則は、
"本当に効果がある治療なら保険が適応されていますよ"
そのため保険外診療はどこか怪しげです。
しかし、患者さんにとっては、
藁をもつかむ思いで手を出してしまうものです。
医師であれば絶対進めない健康食品のコマーシャルが溢れています。
TV番組などでも不適切な内容で謝罪、
時に番組打ち切りのケースさえ見られます。

そんなコマーシャルや番組の嘘に騙されないための
良い本に出合いました。
『原因と結果の経済学』です。
一部紹介します。
・ どちらかが原因で、どちらかが結果である状態を因果関係があるという。
2つの事柄に関係があるが、原因と結果の関係にないものを相関関係があるという。
・ 因果関係と相関関係を混同してはいけない。
因果関係がはっきりしない、根拠のない相関関係による通説が山のようにあるのが教育と医療の分野だ!
・ 個人の経験談の寄せ集めはデータでなく、エビデンスでもない。

この本を読めば、思い込みや根拠のない通説にとらわれることもありません。
個人の体験談がメインのコマーシャルや
健康番組などの情報に惑わされることがなくなると思います。
お勧めです。

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カテゴリー:書籍