成年後見人の鑑定および起点に専門医が重要です

成年後見人の講演・シンポジウムを見ていると、弁護士等の法律関係の方が中心になっていることが多いようです。

しかし考えてみて下さい。

最終の鑑定は、専門医が行います。

やはり医師が主導すべきではないでしょうか?

現在の法律では、契約等を行う場合、意思能力の有無が重要となります。

意思能力は

「各人が最低限、行為の結果を弁識するに足るだけの精神能力。だいたい7~10歳程度の精神能力」

を有することが要求されます。

これ以下だと、意思無能力と判断されます。

実はここで以前紹介した認知症の側頭葉機能を評価する質問形式のMMSEが有効です。

以下に表を示します。

 

MMSE 重症度 精神能力 対応
15-23点 中等度 5-7歳 補助もしくは保佐
14点以下 高度 4歳以下 成年後見

 

つまり、MMSEが23点以下であれば、契約自体が無効となる可能性が高くなります。

同時に、成年後見人の必要性も高くなります。

一般には14点以下で後見人、15から23点で保佐もしくは補助を検討すべきです。

やはり、認知症のレベルを示す評価が重要であり、すべての起点になるようです。

成年後見人が認定されるのか否か、疑問をもたれれば、土岐内科クリニックの受診をお薦めします。

成年後見人を考えたとき、受診する科は?

成年後見人はどのような場合に行うのでしょうか?

金融商品の購入や解約、不動産購入、相続が主なものです。

金融商品の購入は70才以上の場合当日には購入できないものもあります(リスクが高い商品など)。

70歳以上で健常な高齢者にとっては、不便なのですが、金融機関としてもこれぐらいの対応策は必要と思われます。

金融商品の解約の場合、地方の信用金庫や農協では、家族でも認められることが多いようです。

しかし、厳密には、家族でも本人以外の解約は認められません。

そのため、都市銀行等では、金融機関の依頼で成年後見人をつける場合もあります。

相続の際も注意が必要です。

相続の際に書類を作成しようとして、サインも出来ない事から認知症が見つかったケースも数例経験しています。

このように当院では月に5例程度の頻度で申請しています。

ちなみに主治医が成年後見人について知識不足のことも多いようです。

その場合精神科、神経内科の受診が必要です。

良く間違われることですが、脳神経外科は、認知症の専門ではありません。

岐阜県多治見市の家庭裁判所の書類にも主治医の科を選ぶ欄に脳神経外科が項目にあり、神経内科が項目にありません。

成年後見人を扱う家庭裁判所ですらこの有様です。

これからも、改善を求めていきたいと思います。

騙される前に成年後見人を

成年後見人は何のためにつけるのでしょうか?

認知症の患者さんの場合、日常のコミュニケーションが取れても、複雑な契約では判断力が低下しているケースが少なくありません。

そのため、そこにつけ込む、悪徳業者が後を絶ちません。

私の患者さんでもリフォーム、健康食品、ダイヤモンド、時にはお布施などで多くの方々が騙されています。

一度でも騙された方には特に後見人をお勧めします。

御家族によっては一度騙されたから、後見人は不要と言われる方が見えます。

しかし、悪徳業者は独特の情報網があるのか、一度騙された人に群がります。

成年後見人がついていると騙されても、比較的容易に返金されます。

一人暮らしの方や日中一人になる方は悪徳業者対策の為にも申請をお薦めします。

成年後見人の対象は?

成年後見人の対象は、具体的には認知症、精神発達遅延等が対象となります。

特に、私の専門である認知症は、現在約250万人、今後はさらに増加が予想されます。

今後、認知症に全く関わらないで生活できる人は、わずかではないでしょうか?

実際、今回のPALの講演会でも早速、数人の方から質問をいただき、身内の方が受診されるケースも見られました。

ちなみに、精神発達遅延の方は、通常は両親が後見人になるケースが多いようです。

しかし種々の理由で身内の見守りが得られないケースでは、注意が必要です。

彼らは障害年金をもらっているケースが多く、悪い輩の犠牲になることも多いようです。

そのような困難例は、市民後見人の先駈けである岐阜県多治見市の“NPO法人東濃成年後見センター”に相談される事をお薦めします。

私もNPOの会員になっていますが、実情は、かなり困難なケースが見受けられます。

成年後見人 医学的判断は?

成年後見制度とは、精神上の疾患・障害により判断能力が低下した人について、本人に代わって法律行為や財産管理を行ったり、本人の財産上の行為に対し、同意を与えたり、取り消したりしたりする人を選ぶことで、本人の判断を助け、利益保護を図る制度です。        

一般的に成年後見人には、親族後見人が7割以上で、

内訳は、

    親7.9%

    子31.7% 

    兄弟姉妹 12% 

    配偶者 8.6% 

    その他の親族 12%です。

身内が居ないケースでは、専門職が後見人になります。

具体的には、司法書士が10.5% 弁護士7.7% 社会福祉士 5.3%です。

成年後見人の責任は、入院の際に、保証人自体不要であるほどの責任を負う事になります。

しかし入院後、手術をするかしないか?さらに延命を希望するか否かといった医学的判断を行うことはできません。

今後、一人暮らしの方が増え、関係者が成年後見人の方しかいないケースも予想されます。

医療サイドからすると、改善を希望したいものです。