資格取得のための、記憶を理解した勉強法②

試験勉強の際、分厚い参考書をいきなり読み始め、直ぐに挫折される方が見られます。

実は、試験勉強は、問題集、特に過去門からはじめるのが鉄則です。

ご存知でしたか?

資格試験等を取得する際には、当然の勉強法ですが、案外のこの鉄則を知らない方が見えます。

これも実は先週紹介した、エピソード記憶の意味記憶化で説明できます。

漠然と、参考書を読むことは、単なるエピソード記憶をなぞっているに過ぎません。

エピソード記憶は、当然ですが、直ぐに失われてしまいます。 

しかし、先に問題集を終えてから、参考書を読むとどうでしょうか?

「参考書の文章が、実際の問題では、どのような形になって問題になるか?」

を理解しながら読むと、単なるエピソード記憶が意味記憶に変わるのです。

このような勉強法を続けると、参考書の中で過去の問題で出題されていない部分が、次に問題として作られるのではないか?と予想できます。

こうなると、相当の確率で合格できるようになります。

もうひとつ問題を作成する側から考えてみましょう。

最近、学生向けに社会福祉士の予想問題を自分が作ります。

この際に、気をつけることは、自分の専門分野に偏らないように作成しますが、一方で得意分野は必ず出題するということです。

つまり出題委員は、全体を網羅するが、必ずその専門分野を出題するということです。

したがって過去の問題を繰り返すうちに、高頻度で出題される分野に気がつくようになれば、合格率はさらにあがります。

資格取得のための、記憶を理解した勉強法①

先週は、記憶についてのお話をご紹介しました。

今週は、記憶を理解した上での、資格試験等の取得に向けた勉強方法をご紹介します。

受験や資格試験の際には、いわゆるまじめで教室でも一番前に座り、もちろん欠席もしない人が、案外試験に落ちることがあります。

最近、社会福祉士や介護福祉士の養成学校で授業を教えていても、同様のことが見受けられます。

これは、先週ご紹介した“情報のインプットとアウトプット”で説明できてしまいます。

通常、まじめといわれる人達は、情報のインプットに偏ってしまう傾向があるようです。

酷な言い方ですが、試験結果に結びつかない勉強、いわゆる情報のインプットは意味がありません。

どこかで気付いて、情報のインプットとアウトプットのバランスが必要です。

我々も医師国家試験の際に、グループで勉強したものです。

時間効率という点では、一人で勉強したほうが効率的です。

しかし、自分でインプットした情報を、グループ学習内でアウトプットする事で情報が記憶として蓄積されていたのです。

これから、資格試験に望まれる方、仲間を誘ってのグループ学習も有効と思われます。

即時記憶の短期記憶化さらには長期記憶化

情報を脳内に記憶として保存するにはいくつかの段階があります。

たとえば電話番号などの数字を数秒間覚えるような、極めて短時間の記憶を、即時記憶といいます。

これは大脳皮質前頭葉を中心に行われます。

通常ではこのような電話番号はすぐに忘れてしまいます。

しかし、これが大切な相手の電話番号となると覚えておこうとします。

“大切である”という情報とともに海馬に電話番号の情報が入っていきます。

この情報は海馬の中にとどまり、何らかの情報の処理と符号化が行われます。

この期間は数秒から、数分、数時間、数日かかるといわれます。

2年間も留まる情報もあるともいわれています。

この段階を短期記憶と呼んでいます。

記憶にかかわる信号が海馬の中にとどまっている間に、脳に蓄積されている他の記憶情報と関連づけられて新しい記憶として大脳皮質に蓄積され、これが比較的長く保たれる記憶となります。

この段階が長期記憶です。

つまり、即時記憶を短期もしくは長期記憶化する事が重要です。

具体的には、復習です。

一度聞いたり読んだりした情報を、即時記憶が完全に消失する1週間以内に、再度復習します。

そうすると記憶は短期さらには長期記憶化することで長く留まる事になります。

認知症や物忘れの予防のためにも、常に情報の復習がお薦めです。 

エピソード記憶の意味記憶化

記憶には種類があります。

頭で覚える記憶としては、

「昨日Aさんと上野動物園に行ってパンダを見ました。」

というような、日常に起こるエピソードの記憶、

「パンダは熊のような動物で、目の周りが黒く、笹が好物である。中国の四川省に多く生息している」

というような意味記憶があります。

認知症になると、エピソード記憶が低下します。

一方で意味記憶は、比較的保持されます。

言い方を返れば、エピソード記憶を出来るだけ意味記憶に変えることで、記憶を長期にわたり保持できるともいえるのです。

例えば、講演や授業を漠然と聞いていては、単なるエピソード記憶です。

しかし、同じ講演でも、“十周年記念の特別講演で、景子ちゃんという子供さんを6歳でなくされた演者が、情熱的に必死になって話をされた。

スタッフも皆涙し、心が満たされた”と認識したらどうでしょうか?

その記憶は、極めて強固なものとなり、なかなか忘れないのではないでしょうか?

常日頃のエピソード記憶を出来るだけ、意味づけをする事で意味記憶にする習慣をつけてみてはいかがでしょうか?

情報のインプットとアウトプット

今回は、記憶についてお話します。

記憶を理解する事で、頭の上手な使い方をマスターしましょう。

記憶とは、新しい経験を脳内に保存し、後になって再生する一連の機能をさします。

我々は、母親の体内にいる時から、毎日新しい情報を取り入れて、脳の中に蓄積し続けています。

そうした記憶にはいろいろの種類がありますが、大ざっぱに言えば、“頭で覚える記憶”と“体で覚える記憶”にわけられます。

また、記憶機能の過程では、情報を脳内で何らかの形で符号化する過程(記銘、つくる)、どこかの場所にその情報を蓄える過程(貯蔵、しまう)、そしてしまわれた記憶情報を探して再生する過程(想起、とりだす)があります。

簡単に言うと、記憶は情報のインプットとアウトプットで形成されているとも言えます。

情報化社会の現代においては、インプットが過多になっています。

インプットを制限しながら、アウトプットを心がけることが重要です。

具体的には、読書や講演等でインプットした情報は、書くという行為でまとめたり、人に話す事でアウトプットされます。

結果として、インプットとアウトプットのバランスが取れ、情報が記憶として蓄積されるのです。