神経内科専門医

 先回、認知症の4大原因疾患を紹介しました。しかし認知症の原因のうち実は9%は治療可能な病気です。割合としては少ないのですが、たとえ10人に1人であっても、できる限り早く原因を見つけることには大きな意義があります。やはりおかしいなと思われたら、早期に専門医の受診が望まれます。

 ところで認知症は何科が診るのでしょうか?一般的には私の専門である神経内科もしくは精神科が見ることが多いようです。しかし、その中でも得意・不得意があるようです。ホームページや評判等で担当医師が専門であるか否かを調べられることをお薦めします。

 認知症が専門である医師の数は少なく、神経内科専門医でさえ全国で5千名程度しかいません。当院に半径100km圏内から患者さんが集まっているのも、これが一因かと思われます。

認知症の4大原因疾患

 先回、認知症の原因としてアルツハイマー型認知症と血管性認知症の2疾患をご紹介しました。

最近では、認知症状、パーキンソン症状と幻覚症が主な症状であるレビー小体病が頻度として3番目になっています。一見、パーキンソン病のようですが本来保持される認知機能と高次機能が障害される点が特徴です。

さらに頻度として4番目が無頓着で破廉恥な性格変化から始まるピック病(≒前頭側頭型認知症)です。認知機能が保持された段階から反社会的な行動が出現します。警察沙汰になることも珍しくありません。これらの疾患は、社会福祉士の国家試験等にも出題されており、一般的にも認知症の原因疾患として4種類を知っておくことが望ましいと思われます

認知症の原因

 認知症というと1つの病気のような印象をもたれがちですが、実はさまざまな病気が認知症を引き起こします。その中の代表疾患がアルツハイマー型認知症です。認知症の約50%以上を占めます。

次いで30%前後を脳血管障害後遺症による、血管性認知症が占めます。以前は、日本では血管性認知症が多いと言われていましたが、最近は減少傾向です。アルツハイマー型認知症と血管性認知症が頻度的に1位と2位であり、両者で8割近くを占めています。最近は他にも多くの原因が見つかり、数えただけでも50種類以上の原因があるといわれています。

認知症は“病気”です

一般的に、認知症は、年を取れば誰でもなるものと勘違いされている方が、相当数います。認知症は“病気”である事を、是非認識してください。確かに、アルツハイマー型認知症は年齢と共に増えます。80歳代で4人に一人といわれています。しかし考え方を変えると4人に3人は正常なのです。4人に一人がかかる病気であるという認識をお願いします。

ところで2005年に約204万人の認知症患者さんは、2010年に250万、2020年に348万、2030年に420万人と予想されています。これから15年で倍増です。結果として認知症に関わらざる得ない人々も急激に増加するのです。急激な認知症患者さんの増加に向けて、認知症の知識の普及、社会資本の整備、法律的整備等が必要と思われます。

お葉書を頂きました

先日、遠方から受診されていた患者さんからお葉書を頂きました。

“お世話になりました。先日、永眠いたしました。先生の「子供さんが、きっと見ていますよ」と言う言葉を胸に介護をしてきました。ありがとうございました。”

その方は、懸命に認知症のおじいさんの世話をされていました。しかし、身内の心無い言葉・態度に苦労されて介護されていました。思わず、30年前の 自分の母親の姿と重なってしまい、かけさせていただいた言葉が「子供さんが、きっと見ていますよ」と言う言葉でした。苦労して介護している両親の背中を、 姉と自分は敬意を持ってみていましたから・・・

そんな自分の言葉が、お役に立てたことはとても嬉しい事でした。