認知症予防と運動③

実際に認知症予防に運動機能を取り入れようとする試みも始まっています。

東京都では物忘れが気になる65歳以上の高齢者200人を対象に、ウォーキングなどの簡単な運動で認知症を予防する実証事業を実施するようです。

統計学的に有意な差が出れば、「国の介護予防事業にも生かしていく」計画のようです。

認知症を予防するために適度な運動が良い事はわかっていますが、具体的な方法はまだ分かっていないようです。

ただし以下の5つのポイントが指摘されています。

①ウォーキングなど軽い運動を続ける 

②退屈な運動は避ける 

③気分が楽しくなる運動をする 

④ピクニックや散歩など 

⑤友達や知人などと一緒にする 

を心がけると効果が期待できると思われます。

当グループのパワーリハビリも統計学的な考察をして、優位差を証明していきたいと思います。

認知症予防と運動②

加齢などで一度減った神経細胞は元に戻らないというのが従来の脳研究の常識でした。

その点から先回紹介した運動で海馬の神経細胞が増殖をしている研究結果は画期的なものでした。

しかし海外では、運動で脳の働きが良くなることは、これまでの研究からも知られていました。

記憶力に不安を感じる中高年300人を対象にした研究では、ウォーキングなどの運動プログラムを半年間受けた人たちは、認知機能が改善していました。

運動で認知機能が上がる事を確かめた研究もあります。

認知機能に障害がある精神疾患の患者さんに週3回の運動プログラムをやってもらうと、神経心理テストの注意機能や空間認知能力が向上していました。

このことは、機能的MRI(fMRI)でも証明されています。

運動により、現実的に脳機能が改善することが、細胞レベルでも証明もされたと考えられます。

認知症予防と運動①

「運動をすると脳の神経細胞が新しくできて、認知能力が保たれる可能性がある」

と指摘されています。

マウスを使った実験で、脳の海馬の神経細胞のもとになる細胞の数が、運動をしない高齢マウスに比べて2.4倍になっていたようです。

海馬とは、物事を順序立ててこなす「実行能力」や記憶など認知症で衰えがちな機能の多くを担う場所で、認知症になると萎縮することが多くなります。

以前に紹介した、認知症治療薬アリセプトの詳しい働きを調べたところ、脳内の神経細胞のもとになる細胞が増えて新しい神経細胞が増えていたようです。

つまり、運動は薬と同じような仕組で脳に働きかけている可能性があるのです。

運動が、認知機能の低下を防ぐ可能性があります。

実際、当グループで積極的に行っているパワーリハビリによって、認知症が改善するケースが見受けられるのは、このような理由からなのかもしれません。

根拠に基づいた認知症医療:イチョウ葉エキス

我々医師は、EBM(evidence-based medicine: 根拠に基づいた医療)にもとづいて治療を行います。

EBMとは治療効果・副作用・予後の臨床結果に基づき医療を行うというもので、専門誌や学会で公表された過去の臨床結果や論文などを広く検索し、なるべく客観的な疫学的観察や統計学による治療結果の比較に根拠を求めながら治療方針を決めるものです。

実は、認知症の治療において、EBMで効果があるといわれているものは、先回紹介したアリセプトとイチョウ葉エキスの2種類しかありません。

イチョウ葉エキスは、ドイツ・フランスをはじめ欧州諸国で20年以上前から医薬品としてトップクラスを占めています。

効果としては、血をサラサラにして血液の流れをスムーズにします。

また活性酸素の減少により癌やアルツハイマーを予防します。

残念ながら、日本では、保険が認められていませんので保険が利きませんが、効果についてはEBMのお墨付きです。

私の外来でも、“アリセプトと一緒に服薬されている患者さん”、“アリセプトが悪心の副作用で飲めない患者さん”、そして“健康な方が、認知症予防目的”で購入されています。

ちなみに私も認知専門医として、毎日服薬しています。

購入希望の方は、インターネットでの販売もしております。

アリセプトの適切なレベルでの使用を

現在、認知症の治療薬には、エーザイが発売しているアリセプトがあります。

保険で認可されている認知症予防薬としては唯一です。

実際、当院でも相当処方しています。

予防薬といわれていますが、適切なレベルであれば改善するケースも多く見られます。

実は、専門外の先生方にはあまりアリセプトの評判は良くないようです。

実は、この“適切なレベル”が重要となります。

進行してしまった患者さんに投薬しても効果は、殆どありません。

逆に幻覚・妄想といった周辺症状が出ているときに処方すると、周辺症状がさらにひどくなります。

つまり、不適切な患者さんに投与してしまうため、結果として“効果が無い”“副作用が強い”という評価となってしまうようです。

そのため適切なレベルが重要となります。

通常、側頭葉の機能を評価するMMSEは15点以上、最低でも10点以上の方に投与しますと効果は高くなります。

通常は、3mgで開始して、5mgを維持量とします。

5mgでの反応が悪く、年齢も若いケースでは10mgも積極的に使用します。

アリセプトの使用に際しても、適切な評価が重要で、出来るだけ早期発見・早期受診が重要となります。