受診の壁(医師編)

残念ながら、本人も受診する気になり、ご家族も受診する気になり、せっかく受診しても、診察をする医師の態度・レベルで、台無しになることもあります。

 まず、詳細な聞き取りもせずに、“年を取ればこの程度の事ありますよ”と言って、訴えに耳を貸さない医師。

これは認知症の知識に乏しい医師に多く見られます。

専門医でも、詳細な検査をしないと患者さんの見かけだけでは、騙されてしまう事があります。

但し、言えることは、”患者さん・家族・近所の方の誰かがおかしいと感じた場合は、必ず何か原因がある”ということです。

医師には、そんな謙虚な姿勢が望まれます。

また、詳細な認知症の検査(側頭葉や前頭葉機能)をせずに、画像所見だけで判断していますケース。

これは、多くの患者さんが集まる地域の基幹病院で多く見られます。

認知症は、画像診断以上に認知症の機能の検査が重要です。

しかしその機能を測定する検査には、人と時間を必要とします。

そのため、基幹病院では対応できない事が多いようです。

以上の為、せっかく早期で受診しても見逃されているケースが多く見うけられます。

これは、我々医師自身の認知症に対する研鑽の問題です。

当グループも積極的に、正しい情報提供に努力したいと思います。

受診の壁(家族編)

実は、受診に二の足を踏むのは、患者さん、本人だけではありません。

ご家族自身が“信じたくない、認めたくない”という感情で受診を躊躇されるケースもあるようです。

 特に、実の娘さんや息子さんに、その傾向が強いようです。

対して、配偶者や、お嫁さんは、やはり血が繋がっていないためか、その分冷静な判断をされるケースが多いようです。

 配偶者さんや、お嫁さんが、“最近おかしな言動”に気づかれた場合、これこそが早期であることが多いのです。

そこを、見逃すと確実に認知症は進行します。

娘さんや息子さん、認めたくない気持ちは分かりますが、冷静な判断を希望します。

 また、最近では近所の方が気づかれるケースも見られます。

具体的には、町会費を何度も払おうとする(払った事を忘れる)。

おすそ分けを、頂いた方にしてしまう。

町内の旅行に行って、迷子になってしまう。

まさに、近所の方にしか分からない“異変”に気づかれることもあります。

その際は、近所の方はご家族のお話しすることを相当悩まれます。

私の経験上も、近所の方が指摘された場合は、まず認知症である可能性が高いです。

ご家族の方々、近所の方に指摘された場合は、専門医を受診するようお願いします。

受診の壁(本人編)

最近、ホームページの無料相談や、初診の予約の際に、本人が、受診を拒否するので困っているという相談を受けます。

認知症専門外来を受診される際に、喜んで受診される方は少ないものです。

考えてみれば、認知症の検査を受ける患者さんの立場を考えると、“認知症”と診断されたらどうしようと不安になるのも無理はありません。

しかし、多くの患者さんは、ご家族が真剣にお願いすれば、渋々ですが受診してくれます。

また、一つの手ですが、高齢者の方は、公的な事柄には、素直に従う傾向があるので「市の検診で受診する必要がある」というと、まず受診してくれるものです。

このような、手順を踏んでも、頑として受診を拒まれるケースは、残念ながら認知症がかなり進行していると考えて間違いはありません。

したがって、受診する必要があるわけです。

ご兄弟や、息子さんなど患者さんも一目置かれているような方にお願いして、何とか受診を頂きたいものです。

直ぐには無理でも、何度かお願いすると不思議と受診をしてくれるものです。

いずれにせよ、認知症も早期受診が重要です。

まずは無料相談からでも結構です。ご利用ください。

関心=愛情 ②

認知症の患者さんに関心を持たれたご家族は、自宅でも皆で対応してくれます。

孫も含めた家族が、患者さんに声かけをします。

同居していなければ、電話をかけたり、休みの日に訪問します。

介護保険も積極的に利用します。

多くの患者さんは介護保険の利用を嫌がります。

しかし介護保険を利用して認知症の進行を抑える事が、本人さんのためになります。

日中、誰とも口を利かずにTVを見ているだけなら、間違いなく進行します。

逆に、毎日近所の方と集うコミュニティがあれば介護サービスの利用は不要です。

しかし、最近はこのようなコミュニティは減ってきているようです。

認知症の患者さんで介護度①の方は、週に2-3回のデイサービスの利用や、1-2ヶ月に1回程度のショートステイの利用は、ご家族および患者さんの双方の負担を考えるとベストだと思います。

薬物治療と介護サービスの利用そして家族の関心(=愛情)があれば、かなりの高率で認知症の進行は防げると思われます。

関心=愛情 ①

遠方から来院される患者さんは、ご家族と一緒に来院されます。

ご家族に付き添われた患者さんは心なしか嬉しそうです。

1時間前後の移動時間の中、いろいろな会話をされてきたようです。

ご家族の中には、会話のなかで、認知症の進行に気付かれる方も見えるようです。

しかし、診察後にはお昼御飯をどこで食べていくかなど話し合って、嬉しそうな様子も伝わってきます。

患者さんと接することの少ないご家族にとっては、遠方への受診も悪くないのかなと感じます。

実際、遠方からの患者さんの方が認知症の改善が多いように感じます。

それは何故でしょうか?

想像するに、ご家族の“関心”ではないでしょうか?

親御さんを心配して、少しでも評判の良い医師に見てもらう。

そして1時間かけて受診する。

これは、関心と愛情がなければ続きません。

何より、愛情の反対語は、無関心と言われています。

認知症の患者さんに関心を向ける。

その事こそが、最大の愛情だと思います。