人生の後悔を避けるには。歯科の自費(保険外)治療がお勧めの理由

人生の後悔を避けるには。歯科の自費(保険外)治療がお勧めの理由
2018-07-17

6月4~10日は「歯と口の健康週間」でした。しかし、歯の治療をつい先延ばしにする人も多いようです。敬遠する理由は治療の痛みと機械音、そしてお金の心配でしょう。しかし、放っておくと「治療費が想定より膨らんだ」「治療内容に比べて高い」と後悔してしまうことになります。

歯科治療にはお金を惜しむべきではありません。適切に歯科治療にお金をかければ、結果的に生涯医療費が安くもなります。さらに、保険外診療も医療費控除を使えば、ある意味国が治療費を賄ってくれるともいえます。

1.人生の先輩が健康で一番後悔していること

興味深いデータがあります。ある雑誌で55歳から74歳までの1,060人に行った「今、何に後悔していますか?」のアンケートで、1位になったのは「歯の定期検診を受ければよかった」でした。「タバコをやめればよかった」でも「暴飲暴食をしなければよかった」でもなかったのは意外かもしれませんがこれには理由があります。

認知症を専門とする土岐内科クリニックでは平成30年2月から、歯科衛生士を雇用することで歯のチェックをはじめました。ここでみる高齢者の歯の状態の悪さに驚いています。何しろ認知症患者さんの4人に1人は、歯が一本もないのです。若くから歯と口の健康に気をつけて入れば認知症を防げたのでは、と痛感しています。

senior man at dental treatment
認知症の方ではまだ若いのに歯が少ない方が目立ちます

2.生涯医療費は「歯と口の状態」で決まる、とは

歯の定期検診は、認知症をはじめとする健康だけでなく、生涯医療費にまで影響を及ぼします。以下のような報告があります。

定期的に歯科医院を受診している人は、全ての病気にかかる年間の総医療費が低くなる傾向があることが、トヨタ関連部品健康保険組合(豊田市)と豊田加茂歯科医師会の共同調査で分かった。両団体は「歯をケアする人を増やし、医療費削減に役立ててほしい」と呼び掛けている。

トヨタ自動車の関連企業の社員や家族らでつくる同組合は、同歯科医師会の協力を得て、組合員52,600人の2009年度の医療費と受診歴のデータを分析。歯科医院で年に2回以上、定期的に歯石除去などをしている602人を抽出し、総医療費を調べた。その結果、定期受診の人は48歳までは総医療費が平均より高かったが、49歳を過ぎると平均を下回る分布傾向となった。65歳になると平均が35万円に対し、定期受診の人は20万円以下とその差は広がっていく。

組合は「歯が悪いと食事が偏ったり、歯並びが悪くなったりする。それが糖尿病や肩凝り、骨粗しょう症を招き、体全体の健康に影響する」と分析。48歳までは歯科の定期健診費用で年2万円ほどが加わり、医療費が平均より増えるものの、その後は医療費が抑えられるため、歯科の費用を含めても「生涯医療費」は平均を下回ると結論づけた。(中日新聞 2011年3月28日の記事)

オーラルケアを行なっておくことでその他の病気を予防でき、結果的に全身の生涯医療費も抑えられるのです。

3.歯科医療、二つの仕組み

「歯の定期検診を受けておけばよかった」と多くの方が後悔する歯科医療ですが、医科とは異なる特徴があります。歯科治療の内容は健康保険の対象と、それ以外の保険外診療に分かれます。みなさんが困った時に訪れる医科の治療はほぼ「保険診療」であり、保険外はほとんどないでしょう。

歯科医の方は積極的に発信されませんが、保険外診療のほうがおすすめには違いないのです。

3-1.保険診療

保険治療は全国一律の料金で治療を受けることができるメリットがありますが、治療方法や治療に使用する材料などに制限があります。これらの制限を守って治療を行うので、最先端の治療や性能の高い材料を使って治療をすることはできません。症状によっては妥協的な治療しか行えないといったデメリットがあります。

3−2.保険外治療

保険外治療のメリットは、自由に最先端の治療を選べることです。しかし、治療法によっては高度な歯医者さんの技術力や最新の設備を必要とするため、それらに見合った料金設定をしているため料金が高額になるというデメリットがあります。


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Dental implant
インプラントも自費治療の一つです

4.歯科医の保険外診療は金儲けのためでない

お恥ずかしい話ですが、最近まで「歯科医の保険外診療はお金儲けのため」と勘違いしていました。しかし歯科治療において、保険診療は必要最低限の医療でしかなく、多くの問題があります。本当に患者さんにとって安全で効果的な治療は保険外診療なのです。歯科の世界では保険外診療こそが「正義」と言えるのです。その理由について解説します。

4-1.銀歯のデメリットは見た目だけじゃない

歯医者の保険診療でよく使われれる材料に、「歯科鋳造用12%金銀パラジウム合金」があります。いわゆる「銀歯」ですが、見た目が悪い事が第一です。しかし、それ以上に詰めものや被せものの下が虫歯になる二次虫歯というデメリットがあります。まずはこの素材を例にしてご説明します。

4-2.金属アレルギーの恐怖

実は、デメリットはそれだけではありません。まず、体に有害であるとされている「パラジウム」が含まれています。このパラジウム、ドイツでは安全性に問題があるとして使用禁止になりました。具体的には、金属アレルギーを引き起こすきっかけになるからです。

実は私は内科医として怖い思いをしたことがあります。患者さんに突然全身の蕁麻疹が出現抗アレルギー剤と軟膏を使用しても全く改善しませんでした。そこで、やむを得ずステロイドの内服治療を行いましたがこれでも改善せず、徐々に肝機能も悪化。やむを得ず、地域の基幹病院にご紹介したケースがありました。その後、「口腔内の銀歯が原因のアレルギー反応」との回答でした。口腔内の銀歯を交換するだけで症状が完全に改善してしまったのです。

保険外診療では、金歯を使うこともできます。金歯は二次虫歯になりにくいですし、イオン化しにくいことから金属アレルギーも起こりにくいのです。そんな経験から私自身、お願いして詰め物をすべて金歯に変更してもらいました。費用は掛かりましたが、健康にはかえられません。

4-3.身内に保険診療はしない

医師から、選択を求められた患者さんにアドバイスすることがあります。患者さんとして、治療の選択に迷った場合は、逆に医師に質問してもらいます。「もしも、先生が私の立場ならどうされますか?」です。医療の究極の選択は、医師自身もしくは医師の家族に対してはどのような治療を行うかであるべきです。

実は、多くの歯科医が「身内に保険診療はしない」と言われます。これが歯科治療の真実なのです。あくまで保険診療は最低レベル。将来も後悔しないためには歯科については保険外診療が理想なのです。

5.医療費控除を有効利用しよう

歯科の保険外診療の負担は、医療費控除を使えば、一部を国が負担してくれるようなものです。少しでも治療費を抑えるために活用することをお勧めします。

5-1.医療費控除とは?

自己又は生計を一にする人のために医療費を支払った場合には、一定の金額の所得控除を受けることができます。これを医療費控除といいます。医療費控除の金額は、実際に支払った医療費の合計額から保険金などで補填される金額を引いてさらに10万円を引いた額です。上限は200万となります。

5-2.医療費控除の対象となる医療費は、目的が治療

医療費控除の対象となる医療費は、目的が「治療」であるかがポイントです。健康保険が適用されるか否かは問題ではありません。治療を目的とした自由診療や先進医療も、一般的に支出される水準を著しく超えなければ、医療費控除の対象となります。

例えば、子どもの成長を阻害しないように行う歯列矯正や、治療目的で行われる大人の歯列矯正も医療費控除の対象となります。しかし、美容目的で行われる歯列矯正は対象になりません。視力回復を目的とした治療であるレーシック手術は医療費控除の対象になりますが、眼科で処方されるメガネやコンタクトレンズは視力を回復させる治療ではありませんので、医療費控除の対象になりません。

5-3.迷ったら医療費控除?

正直、医師としても歯列矯正の治療目的と美容目的の境界はグレーです。その他の治療と予防の違いも、厳密な線引きは難しいのものです。だからこそ迷ったら、ダメもとで医療費控除を出してしまうのも一案かもしれません。

6.まとめ

  • 人生の先輩方が、振り返って後悔している第一は、「歯の定期検診を受ければよかった」です。
  • 歯の定期検診は、生涯医療費まで低くします。
  • 歯の診療においては、後悔しないためにも積極的な保険外診療がお勧めです。
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