私のために化粧をしてくれた唯一の女性

2014-05-05

先日、長年にわたり訪問診療をさせていただいていたOさんがお亡くなりになりました。当初はグループホームに、脳梗塞で寝たきりになってからは住宅型有料老人ホームに入所されていました。グループホームも住宅型有料老人ホームも当院が訪問診療をさせていただいていので、とても長いお付き合いでした。

Oさんがグループホームに入居されているときには、いろいろな思い出があります。Oさんは、元保険の外交員であったため、私や橋本先生、さらにはスタッフの顔、名前、住所、家庭環境までとてもよく覚えていました。ある意味、“本当に認知症?”と思えるほどでした。もちろんOさんが認知症であったことは間違いないのですが、若いうちに鍛えられた能力は結構残るものです。他の患者さんでも、経営者や珠算の有段者などは、他の能力が落ちても計算だけは維持されていることがあるものです。

Oさんは、私がグループホームに診察に行くと、そそくさと部屋に入ってしまいました。その後、診察が終わるころになると部屋から出てきて診察を受けられます。後でスタッフに聞くと、Oさんは、部屋に戻ってお化粧をしていたそうです。その話を聞いて、Oさんをとても愛おしく感じました。妻でも、私のためには化粧はしません。ある意味、Oさんは“私のために化粧をしてくれる唯一の女性”でもあったのです。


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そんなOさんは90歳を超えていたのですが、年齢とは思えない綺麗な死に顔でした。素敵な思い出をたくさん残してくださったOさんのご冥福をお祈りします。

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