細雪・・誰も働かない四姉妹

2015-04-20

先日、中央公論新社は、戦時中に焼失したと考えられている作家、谷崎潤一郎(1886~1965年)の創作ノート「松の木影」を撮影した印画紙255枚が見つかったと発表しました。代表作「細雪」を執筆するまでの試行錯誤の過程を細かく記録した貴重な資料だそうです。そんな発表の数日前に偶然、DVDで細雪を鑑賞していました。

名匠・市川崑監督が映画化した1983年の作品です。ある旧家の4姉妹それぞれの一年間の物語を、三女の縁談話を中心に、四季折々の風物を織り交ぜて描かれています。昭和13年という戦争に向かう時代背景の中、どこか4姉妹とも浮世離れしています。映画も、京都嵯峨の料亭に旧家・蒔岡の4姉妹が花見の宴で一同に会するシーンから始まります。劇中では4姉妹のうち誰一人、経済活動している人がいません。つまり誰も仕事をしていないのです。確かに旧家ではあるようですが、徐々に没落しかけている中、一族の生活が少しずつ圧迫されていることが分かります。その中でも、消費活動は抑制されていない点が、哀れでもあります。やはり一度身に着いた生活レベルを下げることは難しいようです。特に三女の婚礼衣装は、現代から考えると無駄に見えますが、うっとりするほどの華やかさです。やはり文化は無駄から生じるのだと感じさせるものでした。

四姉妹は岸恵子、佐久間良子、吉永小百合、古手川祐子さんが演じており、とても美しく、心地よいものでした。一方で、長女と次女のそれぞれの養子である伊丹十三、石坂浩二さんの演技もとても素晴らしいものでした。私の子供も4姉妹とまではいきませんが、三姉妹です。これからの激動の時代に飲み込まれないように、しっかりとしたお金の教育を授けていきたいと感じました。一方で、戦時下でも『細雪』を書き続けようとした谷崎潤一郎さんの強い信念を感じる映画でした。


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