医療機関で頭痛に処方されるSG顆粒の効果的な使用方法を専門医が解説!

医療機関で頭痛に処方されるSG顆粒の効果的な使用方法を専門医が解説!

頭痛に悩まされている方は、たくさんいらっしゃいます。その中でも、職場や学校で夕方になると、両肩から後頭部にかけて重く、頭全体を締め付けられるような緊張性頭痛の頻度は最も多いものです。そんな時に、我慢をする人、市販薬を飲む方などがいらっしゃいます。しかし、緊張性頭痛には医師が処方するSG顆粒がとても効果を示します。今回の記事では、医療機関で処方されるこのSG顆粒について効果や特徴について脳神経内科専門医の長谷川嘉哉が解説します。

1.  SG顆粒とは?

sg-granules
SG配合顆粒1g包

SG顆粒とは、医療機関にて頭痛を訴えると「痛い時に飲んでください」と処方される最も一般的な薬です。

1-1.4種類の有効成分が含まれる

SG顆粒は、4種類の有効成分が含まれる解熱・鎮痛薬です。4種類とは、イソプロピルアンチピリン、アセトアミノフェン、アリルイソプロピルアセチル尿素、カフェインです。これらがいっしょに働き、すぐれた解熱・鎮痛効果を発揮します。

  • イソプロピルアンチピリン:ピリン系の切れ味のよい解熱・鎮痛薬です。
  • アセトアミノフェン:副作用の少ないおだやかな作用の解熱・鎮痛薬です。
  • アリルイソプロピルアセチル尿素:弱い鎮静作用があり、鎮痛薬の作用を助けます。
  • カフェイン:不快感や疼痛反応をやわらげます。

1-2.カフェインが特徴

SG顆粒に含まれる成分のうち、最も特徴的なものは、「カフェイン」です。SG顆粒には無水カフェインが50 mg含まれています。正直、解熱・鎮静の作用よりもカフェインの効果のほうが高いのではないかと感じています。

私自身も、夕方に疲れがたまって頭重感があるときにSG配合顆粒を服薬すると、頭がすっきりして仕事に専念できます。

1-3.SG顆粒が効く人は、栄養ドリンクも効果的

医療機関でSG配合顆粒を処方してもらう時間もない人にお勧めなのが、栄養ドリンクです。リポビタンDなどの多くの栄養ドリンクには、SG配合顆粒と同じ無水カフェインが50mg含まれています。疲れがたまって頭が重いときには試す価値があります。リポビタンDにはいろいろな成分が含まれていますが、即効性があるものはカフェインだけです。

Hands of doctor using his laptop computer with drinking coffee
コーヒーやお茶に含まれるカフェインが緊張性頭痛に効果的です

2.  セデスGの後継品

医療の現場では、SG顆粒は、「セデスG」の後継薬として使われています。以前は、医療機関では「頭痛にはセデスG」というように、処方されていました。しかし、セデスGには腎障害を起こしやすいフェナセチンが含まれていたため、2001年で製造中止になっています。現在は、フェナセチンの代わりに安全性の高いアセトアミノフェンが配合されているので心配はありません。

なお、市販薬のセデスは、医療機関で処方されていたセデスGとは、そもそも組成が異なりますので、やはり心配はありません。

Closeup pharmacist hand holding medicine box
SG顆粒は処方せんの元に出されるお薬です

3.  SG顆粒が効果的な緊張性頭痛とは?

SG顆粒の効能は、「感冒の解熱、耳痛、咽喉痛、月経痛、頭痛、歯痛、症候性神経痛、外傷痛」とされています。しかし、臨床的に最も効果的なものは緊張性頭痛です。

緊張性頭痛には以下の特徴があります。

  • 症状は起床時より、夕方の疲れが出てきたときに強くなります。
  • 頭痛は、血管性頭痛のように頭の片側でなく、両側がギュ-ッと締めつけられるような感じです。
  • 持続時間も、血管性頭痛のよりも長く、数時間~数日間ダラダラと続きます。
  • 血管性頭痛のように、前兆や悪心・嘔吐などの随伴症状もありません。

緊張型頭痛は「ストレス頭痛」とも呼ばれ、精神的・身体的ストレスが原因となる場合があります。たとえば、緊張、不安、うつ、運動不足・うつむき姿勢、あるいは口・顎部の機能異常が、緊張型頭痛の発症に関係します。


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4.  飲み方

薬の添付文書では、「成人1回1g(分包品1包)を1日3~4回経口投与する。頓用の場合には、1~2g(分包品1~2包)を服用させるが、追加するときは少なくとも4時間以上経過後とする。なお、年齢、症状により適宜増減する。ただし、1日最高4g(分包品4包)までとする」とされています。

しかし、私個人としては添付文書よりも少ない量の使用をお勧めしています。やはり毎日飲むのではなく、症状が出た際の頓服として、1日最大3回程度までの方が安全です。

*頓服(とんぷく):食後など決まった時間ではなく、発作時や症状のひどいときなどに薬を飲むこと。

5.  服薬時の注意

副作用としては、多くが報告されています。頓服的な使用方法では、副作用の心配は低いと考えてください。

5-1.ピリンアレルギー

ピリン系のイソプロピルアンチピリンが含まれています。従って、ピリンアレルギーの人など、ショックや重いアレルギー症状を起こすことがあります。めったにないのですが、初めて服用する場合は注意してください。

5-2.風邪薬とは一緒にのまないで

市販のカゼ薬や解熱鎮痛薬の多くにアセトアミノフェンが配合されています。この薬と重複することになりますので、風邪の際に服用する薬との併用は避けましょう。

5-3.胃に負担?

SG顆粒には少し特徴的な匂いがあります。実際、私も気になります。そのため服薬後に胃部不快感を訴える方がいらっしゃいます。そんな時は、少し多めの水を飲むようにしてください。これだけでかなり症状は軽くなります。

6.  頭痛は3つの薬を、患者さん自身で使い分け

血管性の頭痛に対しては、トリプタン系薬剤が効果を示し、筋肉性頭痛にはSG顆粒が効果を示します。ロキソニンは、血管性・筋肉性頭痛のいずれにもそれなりの効果があります。

実際の頭痛は血管性と筋肉性が混在していることも多く、明確に区別がつきにくいものです。実際私の外来では、患者さんにトリプタン系薬剤、SG顆粒、ロキソニンの3種類を常備いただき、症状によって使いわけてもらっています。

しばらくすると患者さん自身が試行錯誤するうちに、上手に使い分けられるようになります。やはり、症状が最もわかるのは患者さん自身なのです。

頭痛については以下の記事も参考になさってください。

7.  まとめ

  • SG顆粒は、特に緊張性頭痛に効果を示します。
  • SG顆粒が効果がある方には、同じ無水カフェインを含んだ栄養ドリンクも効果があります。
  • 風邪薬には似た成分が含まれていることが多いため、一緒に服用することは避けましょう。
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