健康寿命を延ばすために・骨粗しょう症を予防改善する7つのポイント

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Pleasant woman tumbling over outdoors

誰でも、健康に長生きをしたいと思っています。誰からも介護を受けることなく、天寿を全うしたいと思われているのではないでしょうか? しかし、骨粗しょう症により骨折をすると、それをきっかけに認知症が進行したり、日常生活動作が低下して寝たきり状態にまっしぐらです。

そのため、骨粗しょう症を予防・改善することは豊かな人生を送り、満足した人生を全うするためにもとても大事です。今回の記事では、高齢者医療に詳しい長谷川嘉哉が、骨粗しょう症を予防して健康寿命をのばすための7つのポイントを紹介します。

1.骨粗しょう症(こつそしょうしょう)とは?

Osteoporosis

骨密度が減って、骨がもろくなり骨折しやすくなります

年齢とともに、骨の強度が低下して、骨折しやすくなる骨の病気を「骨粗鬆(しょう)症」といいます。骨粗鬆症自体は、特に症状はありませんが、つまずいて手や肘をついたり、くしゃみをしたりといった日常の些細な衝撃で骨折してしまいます。日本国内の骨粗鬆症患者さんの推計は約1,280万人、うち女性が980万人、男性が300万人程度とされています。

1-1.女性に多い

骨粗しょう症は特に女性に多い病気で、患者さんの80%以上が女性です。女性ホルモンであるエストロゲンは、骨からカルシウムが溶けだすのを抑制する働きを持っています。そのため、閉経期を迎えてエストロゲンの分泌が低下すると、急激に骨密度が減り、骨密度が低くなります。

1-2.男性にも発症する

骨粗しょう症は女性に多い病気ですが、男性にも起こります。発症している人の4人に1人は男性ということを考えると、決して油断はできません。男性は女性に比べて骨が大きく太いということもあり、若いときの骨量の貯金が女性に比べ多いです。また、女性の閉経のような急激なホルモンの変化もないため、骨量減少のペースは女性よりも緩やかです。しかし、高齢になればなるほど男性も骨粗鬆症になる人が増えるのです。

1-3.加齢以外の原因でも発症する(ダイエット&運動不足)

ダイエットは骨に悪影響を及ぼすことがあります。無理なダイエットは栄養不足となり、骨粗しょう症の原因になります。とくに成長期は骨にカルシウムを貯蓄すして、丈夫な骨をつくる大事な時期です。極端なダイエットは避けましょう。

また、外に出ることが少なく運動不足の人も注意が必要です。骨は負荷がかかるほど、骨をつくる細胞が活発になります。家にこもりがちで体を動かす習慣がない人は骨が衰えやすくなります。

2.骨粗しょう症になると…健康寿命が縮むとは

senior female patient sleeping on bed

ちょっとした転倒から一気に高齢者の疾患が進むことがあります

骨粗しょう症は、癌や脳卒中、心筋梗塞のように直接的に生命影響をおよぼす病気ではありません。しかし、骨粗鬆症による骨折から介護が必要になってしまう人も少なくありません。

2-1.骨折しやすい部位

骨粗鬆症により骨折しやすい部位は以下の3部位です。

  • 背骨(脊椎椎体):背骨が骨折すると、体の重みで押し潰れてしまう「圧迫骨折」という状態になります。その結果、背中や腰が曲がるなどの原因となります。圧迫骨折が生じても、単なる腰痛として見過ごしていたり、痛みを感じない場合もあります。
  • 脚の付け根(大腿骨近位部):骨折すると歩行が困難になり要介護状態になるリスクが高くなる骨折部位です。 大腿骨近位部骨折の85%は転倒が直接の原因となっていますので、骨粗鬆症の治療とともに転倒予防も重要です。
  • 手首(橈骨:とうこつ):ころんで手をついた際におこる骨折で、頻度の高い部位です。特に骨粗鬆症のある方では多発します。

2-2.認知症をも引き起こす

脳の機能は、使わないと衰えます。骨折により入院・安静になると、寝ている時間が長くなります。さらに入院中は、一日のスケジュールは病院任せ、人と話す機会が少なくなり、自分で考えて判断する機会が少なくなります。身体を動かすことが減り、能動的に脳を働かせることが減ると、高率に認知症を発症することになるのです。

2-3.寝たきりになる方も

転倒した高齢者のうち、約1割は骨折をしているという報告があります。骨折をすると、病変部を長期に固定する必要があるため日常生活に大きな支障がでます。特に下半身の骨折をきっかけにして、寝たきり生活になる方が多いため、注意が必要です。実際、「要介護」と認定される原因の約1割は「骨折・転倒」です。

3.診断

骨粗しょう症は主に骨密度と骨折の有無によって診断されます。骨折は本人が自覚していないこともあるため、診断のためにはレントゲン検査が必要になります。

3-1.骨密度測定

「骨密度」は、骨の強さを判定する指標です。 骨密度検査では、骨の中にカルシウムなどのミネラルがどの程度あるかを測定します。 骨密度は若い人の骨密度の平均値と比べて自分の骨密度が何%であるかで表されます。

  • 超音波法:簡単に検査できるため、整形外科以外の内科や薬局などでも機械がある施設があります。踵(かかと)の骨に超音波をあてて測定します。 X線を使用していないため、骨粗しょう症の検診に用いられることが多いです。
  • DXA(デキサ)法:2種類のX線を使うことで、全身のほとんどの骨を測ることができます。 一般的に腰の骨(腰椎)や脚のつけ根(大腿骨近位部)の骨密度を正確に計測して表わされます。 整形外科などの専門機関で測定できます。

3-2.レントゲン検査

主に背骨(胸椎や腰椎)のX線写真を撮り、骨折や変形の有無、骨粗しょう症の有無を確認します。骨粗しょう症になると、レントゲン写真では透過性亢進・骨梁の減少したいわゆる「スカスカの状態」となって映し出されます。

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レントゲン写真は必須です

3-3.既往歴

過去の骨折歴、閉経時期、食事や運動、生活習慣は診断する上で重要な情報となります。 また身長測定で、25歳のときの身長と比べどのくらい縮んでいるかは、診断するうえでの指標になります。

4.骨も新陳代謝する!その仕組とは

骨粗しょう症を予防、さらに薬物治療を理解するためには、骨の新陳代謝の仕組みを知ることが大事です。「骨は一度完成すると変わらない」と感じていませんか?実は、古くなり劣化した骨は、メンテナンスされて新しい骨へと生まれ変わっています。 これが骨の新陳代謝です。または「骨のリモデリング」ともいいます。

具体的には、健康な骨では、骨吸収(=骨を壊す働き)と骨形成(骨をつくる働き)のバランスがつり合っています。 しかし、骨粗しょう症の骨では、骨吸収がどんどん進んで骨形成を上回ってしまい、骨がスカスカになってしまうのです。多くの治療法は、そのバランスを補正することで、骨粗しょう症を改善しようとします。

5.薬物治療

骨粗しょう症の薬は大きく3つに分類されます。最近では、従来の治療薬よりも強力に骨密度増加が期待できる薬や、患者さんが継続しやすいように投与間隔や剤型(薬のかたち)に配慮したものもあります。

5-1.骨吸収を抑制する薬

骨吸収がゆるやかになると、骨形成が追いついて骨密度の高い骨が出来上がります。

  • ビスフォスフォネート製剤(商品名ボナロン、ベネット、フォサマックなど):破骨細胞に作用し、過剰な骨吸収を抑えることで、骨密度を増やす作用があります。整形外科以外でも内科等でも処方しやすい薬です。 経口剤、注射剤などがあります。服用の仕方として4週間に1回、1週間に1回、1日に1回などがあります。
  • SERM(商品名:エビスタ、ビビアント):女性ホルモンの減少に起因した骨粗しょう症に有効です。骨に対しては、エストロゲンと似た作用で骨密度を増加させますが、骨以外の臓器(乳房や子宮など)には影響を与えません。
  • カルシトニン製剤(商品名:エルシトニン):骨吸収を抑制する注射薬ですが、強い鎮痛作用も認められています。骨粗しょう症に伴う背中や腰の痛みに対して用いられます。当院の在宅患者さんで定期的に注射を行っている患者さんがいらっしゃいます。
  • デノスマブ(商品名プラリア):従来の薬に比べ効果が強いため、積極的に使用されている薬です。破骨細胞の形成や活性化に関わるたんぱく質(LANKリガンド)に作用して、骨吸収を抑制します。6ヵ月に1回の皮下注射のため、継続しやすいというメリットもあります。1回当たりの注射の費用は60mgシリンジ1本が 28,788.0円と高いのですが、効果および6か月に1回と考えるとお勧めの薬です。もちろん保険適応ですから、高齢者であれば1割負担で大丈夫です。

5-2. 骨の形成を促進する薬

  • 活性型ビタミンD3製剤(商品名アルファロール、ワンアルファなど):骨粗しょう症治療では古くから使われている薬です。食事で摂取したカルシウムの腸管からの吸収を増す働きがあります。また、骨形成と骨吸収のバランスも調整します。
  • ビタミンK2製剤(商品名:グラケー):骨密度増やす効果は弱いのですが、骨形成を促進する作用があり骨折の予防効果が認められています。
  • テリパラチド(商品名:フォルテオ、テリボン):新しい骨をつくる骨芽細胞を活性化させ、骨強度を高めます。骨密度が非常に低いなど骨折リスクが高い患者さんに適した薬です。現在、1日1回患者さんが自分で注射をする皮下注射剤と、週1回医療機関で皮下注射してもらうタイプとがあります。自己注射および毎週の注射が現場では負担となっています。

5-3.その他

カルシウム製剤(商品名:アスパラ-CA):カルシウムは骨をつくる主要な成分で、欠かせないミネラルです。骨粗しょう症患者さんでは食事の摂取と薬の摂取量をあわせて1000mgが望ましいとされています。

6.骨を強くする食事

薬だけでなく食事も重要です。骨を強くするには、カルシウム、ビタミンD、ビタミンKなど、骨の形成に役立つ栄養素が大事です。特に、 カルシウムとビタミンDを同時に摂ることで、腸管でのカルシウム吸収率がよくなります。また、高齢になると、タンパク質の摂取量が不足しがちです。 タンパク質の摂取量が少ないと骨密度低下がより進行します。タンパク質も意識して摂取しましょう。

それぞれが含まれる食材を紹介します。

6-1.カルシウム

牛乳・乳製品、小魚、干しエビ、小松菜、チンゲン菜、大豆製品など

6-2.ビタミンD

サケ、ウナギ、サンマ、メカジキ、イサキ、カレイ、シイタケ、キクラゲ、卵など。不思議と、元気な高齢者はウナギが好物の方が多いです。

6-3.ビタミンK

納豆、ホウレン草、小松菜、ニラ、ブロッコリー、サニーレタス、キャベツなど。但し、ワーファリンを服用している患者さんは薬の効き目が強く現れたり、逆に弱くなってしまうことがあるため控えるようにしてください。

7.骨を強くする運動

骨は負荷をかけると、骨をつくる細胞が活発になり、強くなります。 散歩を日課にしたり、階段の上り下りを取り入れるなど、日常生活のなかでできるだけ運動量を増やしましょう。骨折予防に有効な運動は、ウォーキング、ジョギング、ストレッチなどがあります。但し、骨粗鬆で治療中の方や膝に痛みがある方は、運動を開始する前に医師に相談してください。

なお、簡単にできて医学的に効果がある運動に、開眼片脚立ちがあります。フラミンゴのように片脚で立ちます。不安な方は壁やテーブルにつかまりながら行ってもかまいません。体重を片脚に乗せることで、両脚立ちの倍の負荷を与えることができ、骨を強くする効果があります。バランス感覚が鍛えられるので転倒予防にもなります。詳しくは以下の記事も参考になさってください。

高齢者の転倒が寿命を縮める理由&予防に効果的なたった一つの方法

8.まとめ

  • 骨粗鬆症患者さんは、全国で1000万人以上いらっしゃいます。女性に多いですが、男性も罹患します。
  • 骨粗鬆症が原因の骨折は、認知症、寝たきりの主たる原因となります
  • 症状はなくても、早い段階から、薬物治療、食事療法、運動療法が大事です。
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