値上げしない介護事業所は選ぶな!5つの理由【医療法人代表が解説】

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Back view of elderly woman sitting on wheelchair

令和元年10月に消費税が10%に引き上げられました。それを機に、値上げをした介護事業所、値上げをしなかった事業所がありました。介護サービスを利用する人からすれば値上げをしない事業所のほうがありがたいものです。しかし、もし選択する場合があれば、環境変化に応じて値上げをしない事業所は、選ぶべきではありません。

今回の記事では、医療法人グループで介護事業を運営している長谷川嘉哉が、値上げをしない介護事業所を選んではいけない5つの理由を紹介します。

1.介護事業所は企業努力ができない、とは

一般企業であれば、環境変化に応じて企業努力を行うものです。しかし、介護事業には企業努力ができない理由があります。

1-1.介護報酬は決められている

介護保険事業所が売上として受け取る介護報酬は、国によって価格が決められています。その上、施設や通所系では定員の上限も決まっています。そのため、企業努力をしても売上には限界があるのです。

1-2.保険外収入の一部のみが決められる

介護報酬は決められていますが、利用者さんに対して保険外の請求も認められています。但し、これも何でも認められているわけではありません。当グループでデイサービスに導入しているパワーリハのマシン(施設600万円)の使用料を保険外にて算定しようとしましたが、介護保険の担当者から「個人的には認めてあげたいが、介護保険法では認められない」と指導されました。

現在保険外で請求できるものは、管理費、水道光熱費、食費など限定されています。逆に言うと、環境変化によって、唯一値上げができる部分なのです。

1-3.企業を大きくしても経営は苦しくなる?

通常であれば、企業規模を大きくすることで利益率が上がります。しかし、介護事業は規模が大きくなっても必要な介護職の人数は変わりません。逆に、売上を上げない間接人員が増えることで利益率は下がってしまいます。そのため、上場しているような介護事業所の方が給与水準が低くなっているのです。

Japanese rehabilitation

自費で認められる部分も、介護保険で厳密に定められています

2.なぜ値上げが必要なのか

そもそも介護事業所は値上げが必要なのでしょうか?

2-1.給与は上げねばならないが、介護報酬が減っている

国は、介護事業所の職員の給与水準を上げることを求めてきます。それなのに、改訂によって介護報酬が減ることがあるのです。介護報酬も定員も保険外算定も国が規定しておきながら、報酬を減らす。値上げもしないで、職員の給与を上げることは不可能なのです。

2-2.消費税分は反映せねばならない

流石に今回は消費税が上がることに合わせて、僅かに介護報酬が上がりました。しかし、日々の食費、生活必需品は消費税に合わせて便乗値上げされています。結果的に消費税の増税は介護事業所には負担増となっています。消費税分すら値上げしないで維持している事業所はどこかに無理が生じていると思って構わないでしょう。

2-3.人件費はあがる

当たり前ですが、従業員の給与は少しでもあげる必要があります。特に優秀なスタッフが長年勤めてくれている場合は、給与を増やすことでしか報いることはできないのです。その原資はどこから得られるのでしょうか。

Caregiver preparing a meal

優秀なスタッフの確保には適切な費用負担が重要です

3.値上げをしないとどうなる?

もし値上げをしないとどのようなことが起こるのでしょうか?

3-1.優秀な人材に報いることができない

適切な値上げをしない介護事業所は、利益率が落ち、ときに赤字にさえなります。そうなると人件費を減らさざるを得なくなるのです。その結果、優秀な介護職には、それ相応の給与で報いることができなくなるのです。

3-2.教育ができない

どんな職種でも、社員教育が重要です。しかし、いかなる教育にも費用がかかります。適切な値上げをしない介護事業所は、教育や研修といった費用を出すこともできなくなるのです。

3-3.すぐに人が変わる

能力に応じた給与で報いることができず、適切な教育システムもないような介護事業所のスタッフは定着しません。結果、常にスタッフが入れ替わり、介護サービスの質も低下するのです。

スタッフやサービスの質が低くなると、利用者も減り事業が立ち行かなくなります

4.値上げをしない介護事業所は、ゆでガエル?

なぜ、値上げをしない介護事業所が存在するのでしょうか? 私が考えるに、単に経営者に「経営能力がない」、「値上げをする勇気がない」、「単なる怠慢」であることが多いようです。そのため、ある日突然事業所が閉鎖するようなケースも増えています。まさに「ゆでガエル理論」なのです。

*ゆでガエル理論:「カエルは、いきなり熱湯に入れると驚いて逃げ出すが、常温の水に入れて徐々に水温を上げていくと逃げ出すタイミングを失い、最後には死んでしまう…」。ゆでガエル理論とはこのように、ゆっくりと進む環境変化や危機に対応する難しさや大切さを説く言葉として使用され、時には「ゆでガエルの法則」「ゆでガエル現象」という表現もされます。ただし、実際にはカエルを熱湯に入れると逃げ出す間もなく死んでしまい、常温から徐々に水温を上げていくと、途中で逃げ出すそうです。

5.値上げして、社会資本を守るとは?

私が代表を務めるブレイングループは、介護報酬が減った時や消費税増税など、ことある事に値上げをしています。その都度決算書をみて、「もし値上げをしていなかったら?」と考えるとぞっとします。

私は、介護事業所は単なるサービス業であるとは思っていません。介護事業所は社会資本なのです。そのためには、多少の非難があっても適切な値上げをすることで、良質なスタッフを集め、そして絶対につぶすことはしないことを信念としています。最近増えている住宅型有料の倒産についての記事も参考になさってください。

廃業倒産する住宅型有料老人ホームの特徴とは【施設訪問医が解説】

6.まとめ

  • 社会環境の変化に応じて値上げをしない介護事業所を選んではいけません。
  • 介護事業所は、経営努力ができない特徴があります。
  • 経営者として、社会資本である介護事業所を守るには値上げは絶対に必要なのです。
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