極端な糖質制限が腸内細菌のバランスを崩して寿命を縮める理由と対策

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Japanese breakfast

糖質制限食は、体重を減らすことには効果があり、臨床の現場では糖尿病の治療にも用いられています。しかし、過剰な糖質制限食はお勧めできません。今回、腸内細菌の観点から、過剰な糖質制限食が寿命まで縮める可能性が示唆されました。

今回の記事では、総合内科専門医の長谷川嘉哉が、過剰な糖質制限食の危険性と適切な糖質制限の方法をお伝えします。

1.糖質制限食とは

人間の身体は、高血糖が長時間継続すると、インスリンという物質が多量に分泌されます。その結果、肥満や糖尿病を引き起こします。エネルギー源となる3大栄養素のたんぱく質、脂質、糖質のうち、糖質の摂取を制限することで血糖値やインスリン分泌の動きのコントロールすることを糖質制限と言います。

ただし、「糖質制限ダイエット」に対して、明確な定義はありません。糖質を減らすといっても、どのくらい減らすのか、どんな種類の糖質を減らすのか、など、糖質のコントロール方法に一定の結論は得られていません。また、糖質をどのくらい減らすのが安全かつ効果的なのか、減らすべき糖質の種類はどれか、減らしてもデメリットはないか、など多くの問題があります。

2.極端な糖質制限、寿命に影響か=動物実験が示唆

Human small intestine, colon and magnifying glass. Close-up of bad bad bacteria

糖質が腸内環境の健全化に寄与している可能性が見つかりました

そんな中、糖質制限に対して腸内細菌の観点からの警鐘が鳴らされました。報道を転載します。

内臓脂肪の減少などに効果がある糖質制限も、極端な制限を長期間続けると老化を早める可能性がある-。東北大大学院農学研究科の都築毅准教授(食品機能学)らの研究グループが、動物実験を通じてこんな結果をまとめた。

都築准教授らは寿命が1年程度の実験用マウスを3グループに分け、それぞれ(1)標準的な栄養割合の餌(2)脂肪の多い餌(3)炭水化物を減らし、たんぱく質を増やした糖質制限食-を与えて飼育。糖質制限食は炭水化物によるカロリーが全体の2割程度と、人間が1日3食とも主食を取らない状態に相当する厳しい制限とした。その結果、糖質制限食を食べたマウスの寿命は標準的な餌のグループと比べ8~9週短いなど、他の2グループと比べ短かった。飼育開始から約1年後に記憶力を測ったところ、標準的な餌のグループの半分程度に低下していた。糖質制限をしたマウスの腸内では悪玉菌が増える一方、善玉菌は減少しており、老化に影響を与えた可能性がある。人間も短期の糖質制限で腸内細菌のバランスが崩れることが分かっており、都築准教授は「人間でも十分に起こり得る」と推測する。都築准教授は、糖質制限は糖尿病対策などに有益としつつ、「医療の一環として専門家が介入してやるべきもの」と指摘。「短期間は問題ないが、ずっと続けると悪影響の可能性がある」と忠告した。(時事通信 2019年05月17日配信

3.糖質制限食での便秘に注意

糖質制限は以下の理由で、便秘になりやすくなります。便秘は腸内環境の悪化を意味するため、ひいては寿命が短くなる可能性があるのです。

3-1.肉の摂取量が増える

糖質制限食では、ごはんやパン、麺類を減らした分、肉類の摂取が増える傾向があります。肉類の摂取量が増えると、腸の悪玉菌を増やすことになります。結果として便秘になりやすくなるのです。

3-2.水分や繊維不足

糖質制限で主食の量が減ることで、食物繊維の量の摂取量も減りがちです。さらに、糖質には、水分が伴っているため、糖質制限により摂取する水分量も減ることになのです。繊維と水分量の減少が便秘につながるのです。

3-3.噛む回数が減る

糖質制限食では、噛む回数も減りがちです。嚙む回数が少ないと唾液の量が減り、唾液に含まれる消化酵素も減ります。その結果、胃腸の働きが悪くなり、便秘につながるのです。

Intestinal bacteria

糖質を過剰に制限することで、健康を害するリスクが増大します

4.「過剰な糖質制限」も「過剰な糖質制限」も良くない

ならば、糖質制限食は無意味なのでしょうか? 糖質制限食には、良い悪いの意見が分かれており、皆さんを混乱させます。その原因は、それぞれの反論の理由のデータがあまりに極端だからです。

言ってしまえば、「過剰な糖質制限」も「過剰な糖質制限」も身体には良くないのです。医師としては、とにかく糖尿病を改善することが最も重要です。そのための正しい糖質制限食は、間違いなく有効です。

5.正しい糖質制限

私の外来で糖尿病コントロールが悪い方には糖質制限食をお願いしています。但し、糖質はあくまでも禁忌ではなく、制限という範囲で一日一食のみ糖質を制限します。

5-1.糖質制限でも普段の半分まで

一日の糖質摂取量を日本人平均の270gほどとした場合で考えると、一日の糖質摂取は制限したとしても135g程度までにしましょう。一般的な量はご飯一杯で糖質は約55gです。つまり、一日一食程度ご飯を減らすことで、十分糖質制限には効果があるのです。

この場合の糖質には、「健康に良い炭水化物」と「健康に悪い炭水化物」があります。最も身近な炭水化物は、白米や小麦粉であり、これらは精製された炭水化物です。このように精製されている「白い炭水化物」は、血糖値を上げ、脳卒中や心筋梗塞などの動脈硬化による病気を起こすリスクを高める可能性があることが、数多くの研究から報告されています。

その一方で、玄米のように、精製されていない「茶色い炭水化物」の多くは食物繊維や栄養成分を豊富に含み、複数の研究で肥満や動脈硬化のリスクをむしろ下げると報告されています。100%玄米とは言いませんが、半分程度混ぜることは有効です。

玄米、全粒粉、雑穀を食事に組み込むことで腸内細菌にも良い影響をもたらします。

5-2.糖質を減らした分、タンパク質、脂質をしっかりと食べる

日本人はカロリー摂取の半分以上を糖質に頼っています。そのため、糖質を減らすと、摂取カロリーも大きく減ってしまいます。そこで、タンパク質と脂質をしっかり食べ、カロリーが減りすぎないよう にしましょう。

5-3.食物繊維をしっかりと食べる

米などの炭水化物は食物繊維を多く含むため、制限すると食物繊維が不足しがちです。そこで、緑黄色野菜やきのこ、海藻類など食物繊維を多く含む食品を意識的に摂取するようにしましょう。

Healthy eating colourful fresh vegetable

体に良い食生活に留意しましょう

6.まとめ

  • 過剰な糖質制限は、腸内細菌を乱し、寿命を縮めます。
  • 「過剰な糖質制限」も「過剰な糖質制限」も身体には良くありません
  • 適切な糖質制限は、糖尿病の治療にも有効です。
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