飛蚊症って何?・・52年間生理的飛蚊症と付き合っている医師が解説

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Young tired working woman at work

飛蚊症(ひぶんしょう)ってご存知ですか? 目の前に黒い虫のようなものが動いている症状です。私自身も幼少よりその症状を経験している張本人です。

医学部生のころには、授業で飛蚊症の話を聞いてから不安になり眼科を受診。しかしさほど気にする程度ではなく、「ヒポクラテス症候群」と言われたこともあります。

実は、飛蚊症についてはそれぐらいでの眼科受診がお勧めです。特に、突然飛蚊症が出現したり、飛蚊症の症状が悪化した場合は、すぐに眼科受診をしましょう。今回の記事では、52年間生理的飛蚊症と付き合っている医師長谷川嘉哉が、患者としての経験も踏まえて解説します。

*ヒポクラテス症候群:医大生や研修医になりたての医師がかかり易い病です。ちょっとした身体の異常が、講義で習った病気の症状に良く似ている気がして、自分は難病かもしれないと悩むのです。吐き気があると胃がんかもしれないと思い、小便が臭いと糖尿病じゃないかと心配するのです。

1.飛蚊症とは?

Mosquito swarm

まさに蚊が飛ぶように目の前で黒い点が蠢きます

飛蚊症とは、モノを見ているときに黒い虫のようなものが動いて見える状態のことです。黒い虫のようなものの形や大きさはさまざまで、視線を動かすと追いかけてくるような動きをする場合もあります。症状が出る年齢もさまざまで、私のように生まれつきであったり、20代から症状を自覚する人もいます。さらに高齢になると頻度は増えてきます。

飛蚊症は、気にならないと気にならないのですが、いったん気になりだすととても気になります。私の経験からいうと、特に明るい場所で、白い紙に書かれた文字を読むような場合は、とても気になります。学生時代は、明るい部屋で答案に向かう試験の時に特に気になりました。しかし、それ以外では殆ど気にならなかったものです。

2.飛蚊症の原因は?

飛蚊症の原因には、以下の3つがあります。

2-1.生まれつき

母体内で胎児の眼球がつくられる途中では、硝子体に血管が通っていますが、眼球が完成するとこの血管は無くなっていくのがふつうです。しかし、生まれた後も血管の名残りが硝子体に残存すると、これが「濁り」となって飛蚊症の症状を感じることがあります。私はまさにこの例で、物心がついた4、5歳の頃から飛蚊症の記憶があります。このタイプの飛蚊症は、生理的なもので健康な目にも起こる現象ですから、症状が進まない限りはあまり気にしなくてもいいでしょう。

2-2.年齢的変化によるもの(生理的飛蚊症)

加齢によって硝子体はゼリー状から液状に変化し、硝子体はしだいに収縮して網膜から剥がされていきます(硝子体剥離)。このような変化が飛蚊症の原因ですが、小じわや白髪と同じようなもので時の経過による自然な現象です。

2-3.「怖い病気に伴うもの」がある

網膜裂孔、網膜剥離、眼底出血、ぶどう膜炎などの恐ろしい病気でも、硝子体に濁りを生じて「飛蚊症」や「光視症」が初期症状として出現します。飛蚊症や光視症の症状が突然出現してきた場合は、精密眼底検査を受ける必要があります。

*「光視症」:実際にはないはずの光が一瞬光ったように感じます。飛蚊症の症状と併発することが多くあります。

3.飛蚊症の対策は?

飛蚊症で大事なことは、その原因が、「生まれつきもしくは生理的なものか」、「病気によるものか」をはっきりさせることです。「生まれつきもしくは生理的な原因」による飛蚊症の場合は、特に治療の必要はありません。

4.飛蚊症で以下の場合は緊急受診を

次のような症状がみられるようでしたら、ぜひ眼科を受診してください。

  • 黒い点の量や範囲が急に増えた
  • 暗い場所で突然稲妻のような光が見える
  • 急に視力が低下した
  • 視野の一部分が欠けている

5.飛蚊症を起こす病気

病気により飛蚊症を引き起こすものには以下のものがあります。

5-1.硝子体剥離

飛蚊症の原因として最も多いものが硝子体剥離です。 硝子体とその奥にある網膜は通常は密着しています。それが外れると接着部分が硝子体混濁となり、その影が飛蚊症となります。この接着部分はひとつの輪になっているものですが、やがてその輪が幾つにもわかれます。ですから飛蚊症もはじめは大きな黒い輪のようなものが見えますが、やがて小さな幾つもの黒点に数がふえ、位置が変化していきだんだん気付かなくなることが多いようです。この硝子体剥離の原因は、老化現象としても起こります。また強度近視の方には必ず起こるものです。その他には目を打撲した時にも起こります。治療の方法はありませんが進行するものでもありません。気にかかる症状があるようでしたら、早めの検診をお勧めします。

5-2.強度近視

強度近視の方には様々な目の病気が起こる可能性があります。そのひとつに硝子体剥離があります。さらに網膜が萎縮変性して硝子体混濁が起こります。これらの症状は飛蚊症として感じます。この場合は放置しておいても問題はありません。しかし網膜の萎縮変性から硝子体混濁以外に網膜に穴があいている場合があります。この網膜裂孔は網膜剥離につながる場合があります。そうなると至急に手術をしなければなりません。 強度近視の方の飛蚊症は、網膜剥離の前兆かもしれませんので、できるだけ早く専門医の診察を受けることが必要です。

5-3.網膜裂孔・網膜剥離

網膜とは、眼の中にある薄い膜で、カメラに例えるとフィルムにあたり、光を感じる大切な箇所です。網膜の孔があいたり裂け目ができた状態を網膜裂孔といい、網膜裂孔の状態から網膜が剥がれてきた状態と網膜剥離といいます。

Retinal detachment

網膜が目の奥で剥がれる症状です

 5-4.硝子体出血

目の中で出血して血液が硝子体の中に入ると飛蚊症として感じます。糖尿病、高血圧のように出血しやすい病気がある時や、目を打撲した時に起こります。この時の飛蚊症は突然おこり進行はしません。出血が大量ですと視力も落ちます。安静にしながら糖尿病、高血圧などの元の病気の治療も必要です。硝子体は血管がなく、循環が悪い所なので、硝子体出血もなかなか吸収しませんが、出血が再発しない限り時間とともに回復します。

5-5.ぶどう膜炎

「虹彩」「毛様体」「脈絡膜」を総称して「ぶどう膜」といいいます。目の中の炎症ですが、全身疾患などが関係する場合も多く、専門的な治療が必要です。目に炎症があるため硝子体混濁が起ることがあります。この時の飛蚊症は軽いものから始まり、だんだんひどくなり、やがては物を見るのにも支障が起こります。炎症を治療することが必要です。

6.緊急受診をした際に眼科で行われること

眼科に緊急受診した場合は、散瞳剤を使用しての精密眼底検査が必要です。散瞳剤を点眼して瞳孔を開いた状態にしておき、医師が検眼鏡を用いて網膜の隅々まで観察する検査をおこないます。この検査では散瞳剤を点眼してから瞳孔を開くまでに2040分間程度、検査時間は数分間で終わりますが、検査後に瞳孔がもとに戻るまで5~8時間くらいかかります。

検査を受けたあとはすぐに歩いて帰宅できますが、瞳孔がもとに戻るまでは光がまぶしく、ピントがぼやけた状態になりますので、検査を受けた当日は車やバイクの運転は危険ですので控えるようにしてください。

7.まとめ

  • モノを見ているときに黒い虫のようなものが動いて見える状態のことを飛蚊症と言います。
  • 飛蚊症は、その原因が、「生まれつきもしくは生理的なものか」、「病気によるものか」をはっきりさせることが大事です。
  • 飛蚊症が突然出現してきたり、量が増えてきたとき、視力低下などの症状が出現したときは、緊急での眼科受診が必要です。
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