歩幅が狭い人ほど認知症になりやすい?研究結果を認知症専門医が解説

歩幅が狭い人ほど認知症になりやすい?研究結果を認知症専門医が解説

最近、周囲の人に比べ歩くスピードが遅く感じることはないでしょうか? もしくは、どことなく歩幅が狭くなったことを意識することはないでしょうか?

このほど、東京都健康長寿医療センター研究所協力研究員の谷口優さんの研究チームが、「歩幅が狭い人ほど認知症になりやすい」という研究成果を発表されました。なんと「歩幅の狭い人は3倍以上も認知機能が低下していた」というのです。

今回の記事では認知症専門医の長谷川嘉哉が、今回報道があった「歩幅と認知症の関連」の解説と、歩幅を広げるための方法をご紹介します。

1.歩幅が狭い人ほど認知症になりやすいとは?

Elderly women who are walking in the nature
歩幅=総合的な運動能力と認知症の関連がわかってきました

谷口さんの研究チームは、群馬県と新潟県に住む65歳以上の方1000人以上を対象とした調査を行いました。ひとりひとりの歩幅を調べ、歩幅の「狭い人」「普通の人」「広い人」の3つのグループに分け、最長4年間にわたり追跡調査をしたのです。その結果、歩幅の狭い人は、広い人に比べ、なんと3倍以上(3.39倍)も認知機能が低下していました。

また、その傾向はどの年齢においても変わらず、70代でも80代でも90代でも、歩幅が狭い状態で年を重ねている人ほど、認知症のリスクが高いことがわかったのです。(出典:文春オンライン「横断歩道の白線を跨げない人は要注意! 4年間の追跡調査でわかった「歩幅と認知症」の意外な関係」)

2.具体的な歩幅は?

Japanese Crosswalk
横断歩道の白線が目安になります

私の認知症専門外来でも初診の段階で、必ず歩幅は観察します。歩幅が狭い場合は、特に血管性認知症の要素が強くなるからです。ただし、今回の谷口さんの研究では、血管性だけでなくアルツハイマー型認知症についても歩幅が影響しているとのことです。

ちなみに、歩幅の目安は「65㎝」だそうです。歩幅は一方の足の踵から、もう一方の足の踵までの距離で測るので、横断歩道の白線(約45㎝)を踏まずに歩いて越えられれば、45㎝+足の大きさ(20㎝+α)となり、65㎝以上の歩幅があると考えていいそうです。逆に、横断歩道の白線を踏んでしまう人は、認知症リスクがあるということです。

皆さんも自分の歩幅を知っておくと便利です。自分の歩幅は70㎝と把握しています。これで、ゴルフの際の歩測、不動産見学時の土地の大きさ、部屋の大きさを測定することができます。実際、大腸憩室炎で入院した際も、最初に病室の広さを測定していました。

3.歩幅が狭いとなぜ認知症になりやすいか?

歩幅が狭いと、なぜ認知症になりやすいのでしょうか?

3-1.脳の病変が疑われる

脳の血管が詰まることを梗塞と言います。大きな血管が詰まると、片麻痺などの症状が出ます。一方で小さな血管が詰まることによる小梗塞は、一つでは症状は出ませんが、多発することで歩行障害が出現します。この場合の歩行障害は、小股、前傾、手の振りが少なくなるため、一見パーキンソン病のように見えます。しかし、パーキンソン病とは原因が異なるため、「血管性パーキンソン症候群」と呼びます。

3-2.身体のバランスがくずれ廃用につながる

脳にとっては、頭を使うことも、身体を使うことも同じ情報処理です。歩幅が狭くなると身体のバランスが崩れることで、運動機能が低下してきます。その結果、さらに身体のバランスが崩れる悪循環に陥ってしまうのです。つまり歩幅が狭くなることは、脳と身体のいずれの廃用にもつながるのです。

3-3.転びやすく、転倒骨折を機に認知症

転倒して骨折したことにより、認知症を発症する患者さんがたくさんいらっしゃいます。歩幅が狭いということは、そもそも筋力が衰えており、バランスが悪いことを意味するため、転びやすいのです。


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4.歩幅は何で決まるか?

歩幅は、意識して広げようと思ってもなかなか広がりません。なぜなら、歩幅は以下の3つの能力によって規定されているのです。

4-1.柔軟性

歩幅を広げるには、股関節、膝関節、足関節といった関節の柔軟性が必要です。それと同時に、関節をつなぐ筋肉の柔軟性も必要になるのです。

4-2.体幹の筋力

歩幅が広がっても、身体全体を支える筋力が必要です。その場合の筋力は、特に体幹の筋力が必要となるのです。

4-3.バランス

以上のような、柔軟性と体幹の筋力を基礎に、全体をイメージ通りに動かせるバランス能力と感覚が大事です。バランス機能は、小脳の働きによりますので、小脳を意識したトレーニングが必要になります。

5.ブレイングボード®が歩幅を広げることに有効な理由

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ブレイングボード®

歩幅を広げるためには、柔軟性と体幹の筋力とバランスが必要と分かっても、それらを鍛えることは結構困難です。そんな時にお勧めなのがブレイングループが開発したブレイングボード®です。

5-1.柔軟性の改善

両足でブレイングボード®に立ちます。すると、自然と足の裏側の筋肉が伸ばされ、柔軟性が高まります。さらに、ブレイングボード®の上で膝の屈伸運動を行います。手で摑む場所を膝、ふくらはぎ、足首へと動かしていくことで、全身のストレッチになります。ブレイングボード®に乗る前は手が床につかなかった方も、運動をしてから降りると、あら不思議! 手が床につくほどに柔軟性が改善されているのです。

5-2.体幹を鍛える

ブレイングボード®の上で青竹踏みのように足踏みします。目安は、1〜5分。傾斜がついていることで身体の姿勢を意識することができます。たった数分なのですが、体幹を意識した有酸素運動をしていることが実感できます。

5-3.片足立ちでバランスを鍛える

小脳系を鍛えるには、普通に歩行をしていても効果はありません。小脳系を鍛えるには、バランスが悪い状況でのトレーニングが必要です。ブレイングボード®に乗って、片足で立ってみてください。最初は、フラつくのですが、毎日行っていると、1分以上片足で立つことも可能になります。

6.まとめ

  • 「歩幅の狭い人は3倍以上も認知機能が低下していた」という研究成果が発表されました。
  • 歩幅を広げるには、柔軟性、筋力、バランスの機能が重要です。
  • ブレイングループが開発した、ブレイングボード®を使うことで、歩幅を広げることが可能です。
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