介護保険サービス利用時の健康診断書 何回書けばよいの!?

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Doctors and patients sit and talk. At the table near the window in the hospital.

要介護者の診察をしていると、頻回に健康診断書の作成を求められます。これは、介護保険サービスの利用を希望すると、各事業所ごとに、指定の診断書が必要となるからです。この診断書が、各事業所ごとで内容も書式も異なるのです。そのためデイサービス、ショートステイ、施設入所申し込みとあるたびに毎回診断書を作成する必要があるのです。施設入所を何か所も申し込む場合は、さらに枚数が必要になります。

このことは、ご家族の手間と費用、さらには医師への負担につながります。そんな中でも、岐阜県土岐市はすべての事業所の統一形式ができています。今回の記事では、各市町村が介護サービス「共通健康診断書」を導入することを提言します。

1.介護サービス利用時の健康診断書・必要性は?

young asian nurse with old asian patient in park

事業所側は利用者さんの体調を細かく把握しておきたいでしょう

介護サービスになぜ健康診断書が必要なのでしょうか?そのデメリットと必要性を考えてみます。

1-1.手間も費用もかかる

健康診断書の作成に際しては、まずは受診するための手間がかかります。身体介護が必要な方の場合、何人もの付き添いが必要なこともあります。そのうえ、診断書には、感染症(B型肝炎、C型肝炎、梅毒)やツベルクリン反応など保険適応外の項目が含まれます。このぶんの実費が、通常の診断書代とは別に必要になります。

1-2.利用者さんの把握のためには必須

家族にすれば、手間もお金もかかる健康診断書がなぜ必要かと思われるかもしれません。しかし、逆に何の情報もなしで介護してくれる施設があれば、それはそれで不安でしょう。高齢の利用者さんは、外見ではわからない疾患を多く抱えているものです。施設側にとっても前もって想定されるリスクを把握しておく必要があるのです。

1-3.各施設が別である必要はない

確かに健康診断書は必要です。しかし、だからと言って、事業所がそれぞれの健康診断書を求める必要はないのではないでしょうか。なかには、他の施設の健康診断書のコピーを認めてくれる施設もあります。しかし、かたくなに自社規定の健康診断書を求めてくる事業所もあるから困ったものです。

2.内容もいい加減? 不要な項目とは

各事業所が求めてくる診断書の内容もこれが必要?といった内容もたくさんあります。これらにも費用がかかり、ご家族の負担になりますので改善を求めたいものです。

2-1.血液型

血液型は全く不要です。仮に輸血が必要な事態になっても、病院では必ず血液型を調べてクロスマッチという検査をしてから行います。ですから、介護事業を利用する場合に血液型は全く不要です。

2-2.感染症

確かに出血をした場合に、介護事業所が感染症の有無を知ることは必要です。それには、B型肝炎の抗原、C型肝炎の抗体、梅毒検査で十分です。そこに、B型肝炎の抗体までは不要です。また病院ではないので、本来は、MRSA検査も不必要です。

*MRSA(methicillin‐resistant Staphylococcus aureus:メチシリン耐性黄色ブドウ球菌):髪の毛や皮膚、鼻の粘膜、口腔内に普通に存在している黄色ブドウ球菌の仲間。耐性遺伝子を持っており、抗生物質が効きにくくい。

Donate / Blood group / Doctor

血液型は介護サービス利用においてはあまり必要性がある項目ではありません

2-3.書き手を考えていない、アンバランスなスペース

素人が作った形式が多いため、とても書きにくい書類が多いのです。現病歴や飲んでいる薬の情報はとても重要ですが、それを記載するスペースが異常に小さいのです。一度で良いので、医師に確認してから書式を作成してもらいたいものです。

そのうえ令和になってからも、いつまでも年号が平成のままの診断書が殆どです。その度に、医師が二重線で平成を消してから、令和と書く必要があるのです。

3.厚生労働省の指標はどうなっているか?

実は、厚生労働省のQ&Aでは、健康診断書について以下のような指標が出されています。各事業所には改めて、是正を希望します。

  • 主治医からの情報提供等によっても必要な健康状態の把握 ができない場合には、別途利用者に健康診断書の提出を求めることは可能であり、その費用については原則として利用申込者が負担すべきものと考えられる。
  • ただし、この場合でも、利用申込者の負担軽減 の観点からも、第一にサービス担当者会議における情報の共有や居宅療養管理指導による主治医からの情報提供といった介護保険制度の活用に努めることが望ましく、事業者が、安易に健康診断書の提出を求めると いった取扱は適切でない
  • 利用者の負担軽減のために、一定の条件をつけてコピー可とすること
  • 健康診断書の項目としては必要最低限のものとし、これ以外の項目について施設等が知りたい場合は、かかりつけ医がそれを把握している場合は、診療情報提供書でやりとりしていただく、把握していない場合は新たに検査等を求めない。

4.岐阜県土岐市の取り組み

岐阜県土岐市では、2000年4月の介護保険施行時より、介護事業所の統一規格ができています。つまり、診療情報提供書として医学的な情報と、介護情報提供書として、介護的な情報の2枚によってできています。内容も、過剰でなく、必要な情報がすべて網羅されています。患者さんは1回この書類を作れば、何か所の事業所を利用してもコピーで可なのです。残念ながら、その際に隣の市のサービスを利用すると新たに診断書を要求されてしまうのです。

ただし、ツベルクリン反応は、項目に含まれています。統一規格を作る際に、ツベルクリン反応を項目に入れるか否かで議論になりました。ツベルクリン反応は48時間後に確認する必要があるため多くの患者さんに負担を強いてしまいます。そのため多くの医師は、ツベルクリン反応を項目から除外すべきと考えていました。しかし、当時80歳を超えていた結核の専門医の先生が、「結核は画像診断だけでは見落とすことがある。介護施設で結核が蔓延すると大変なことになる。ツベルクリン反応により、活動性の結核を否定すべき」との意見をおっしゃり、最終的に取り入れられることになったのです。

他の介護事業所も、意味のない検査項目を含めるよりも、ツベルクリン反応は含めるべきです。

5.まとめ

  • 介護サービスを利用する場合は、健康診断書が必要です。
  • 多くの市町村では、利用する介護事業所ごとに診断書の形式・内容が異なるために、何度も医療機関を受診し費用負担も発生します。
  • 岐阜県土岐市のように多くの市町村で健康診断書の統一規格の作成が望まれます。
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