低温は万病の元

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健康に対する寒さの影響は大きく、室内の低温は万病のもとです。例えば急激な温度変化で体調が急変する「ヒートショック」。入浴中の事故死だけで年間1万9千人以上と推計され、交通事故死の4倍以上です。実際に、脳梗塞や脳出血もヒートショックが引き金になることが多いのです。

欧米では健康への配慮から住宅の最低室温を規制する国が多いそうです。英国は冬季の室温として摂氏21度を推奨し、16度以下は「呼吸器疾患への抵抗力低下」などと規定。家主に改修を命じることもあるそうです。もちろん、日本にはそんな規制はありません。訪問診療でお伺いする家の中には、温度計があって10度以下のことさえあります。そんな中で、『お爺さんは、布団から一日出ようとしないんです』と言われる家族があります。この寒さでは布団から出ることは困難です。そのうちに確実に足腰が弱り、廃用症候群が進行してしまうのです。

以前、当院で働いている北海道出身の看護婦さんが言っていました。『家中を温める北海道に比べ、本州の方がはるかに家の中は寒い』。実際に、“外気温が下がる冬季は高齢者の死亡が増えるが、外気温低下と自宅死亡率の相関関係は西日本で高く、北海道は最も低い”というデータさえあります。冬暖かい北海道の家は健康にもいいのです。

『徒然草』の吉田兼好がいう「家の作りようは、夏をむねとすべし。いかなる所にも住まる」は、家を長持ちさせる効果はあります。しかし、アフリカで進化した人間は暑さより寒さに弱いのです。本来、“家はまず冬を旨とすべき”なのです。

私は、訪問診療や訪問看護を志す医師や看護婦さんに言っています。在宅医療は、『情熱以上に暑さ寒さに耐えうる体力が大事』だと。在宅医療普及のためにも、無駄に体力を消耗しないような“冬暖かい家”が日本の常識になることを願います。

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