医者は、患者さんと家族に育てられる

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昔、基幹病院で働いていた時に、
とても感謝されたことがありました。
脳出血で緊急入院。
急性期治療により、命を取り留めるも
経口摂取は回復せず。
そろそろ経鼻胃経管栄養の導入と考え
家族に提案。
その際、実の娘さんが
『経鼻胃経管栄養だけはやめてください。
自宅に引き取って、自宅で看とりたい』
と訴えられました。
このようなケースでは、
実の娘さんが希望されると叶えられるものです。
長男のお嫁さんが同じことを言えば、
『冷たい鬼嫁』と言われるのがオチです。

このケースでは、実の娘さんのリーダシップで
自宅に帰り、
美味しそうに一口だけビールを飲まれたそうです。
しかし、栄養を維持するほどの経口摂取はできず、
時々近医の先生が点滴。
退院後4週間で
自宅で亡くなられました。

亡くなられてから、身内6名の方が
『先生、ありがとうございました。
こんな満足できる看取りができたのも先生のお蔭です』
とわざわざ来院されました。
正直、自分がしたことは紹介状を書いただけです・・
そのため、少し照れてくさい思いでした。
しかし、このケースで
『医師が患者さんにできることは医療以外にもある』
と教えてもらいました。
現在、在宅医療をおこない
年間60-70名の方の
看取りをさせていただいているのも、
この経験が一因であったと思います。
医者も患者さんと家族に育てられるのです。

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