サービス付き高齢者住宅(サ高住)最も効果的な利用法を専門医が断言

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Talking with children

私は、現在15カ所の施設で訪問診療を担当しています。施設の内訳は、グループホーム(以下GH)、有料老人ホーム、サービス付き高齢者向け住宅(以下サ高住)です。その中でも、サ高住は、経営者、利用者、ケアマネが、本来の趣旨を理解せず、利用の仕方を間違えているのではないかと思われるケースがあります。それにより、入居した利用者・家族が予想していたサービス内容との差異が生じています。サ高住は利用料が極めて割高でもありますので、ほんとうにもったいないことです。

今回の記事では、サ高住の正しい利用の仕方を知ることで、本来入居すべき施設を選択し、無駄な費用負担をしない方法を高齢者医療に熟知した長谷川嘉哉が紹介します。

1.サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)とは?

サ高住の特徴を紹介します。

1-1.高齢者向けのサービス付き賃貸住宅

サービス付き高齢者向け住宅とは、主に民間事業者が運営するバリアフリー対応の賃貸住宅で、サ高住と呼ばれることが多いです。主に自立あるいは軽度の要介護高齢者を受け入れています。日中は生活相談員が常駐し、入居者の安否確認や様々な生活支援サービスを受けることができます。介護が必要な場合は、訪問介護など外部の介護サービスと個別に契約が必要となります。

Nurse holding hand of senior woman in pension home

サ高住は、介護度が重くなった時に対応できません

1-2.異業種が参入

サ高住は、高齢者の居住の安定を確保することを目的として、バリアフリー構造等を有し、介護・医療と連携し高齢者を支援するサービスを提供する事を目的として、国土交通省・厚生労働省の共管制度として創設されました。国からの補助金制度もあり供給が促進され、勢いを増してサ高住が新設されています。そのためか、補助金目当てで、あまり医療介護のことが分かっていない異業種からの参入が多いようです。

1-3、空いていることが多いが高い

専門医としてはサ高住はあまりお勧めではありません。そのことに気づく人が増えてきたのか、最近では空いている施設が増えています。そのため介護に困った家族が、藁をもつかむ思いでとりあえず入所させてしまいます。これが間違いのものとです。本来、サ高住の対象は、「自立もしくは軽度の要介護者」が対象です。家族が介護に困るような要介護者を入所させる施設ではないのです。

そのうえ費用は、地方であっても月額20万円程度と高価です。入居できる対象が極めて限られていて、その上月額の費用負担が高額。これで入居者が集まるはずはないのです。

2.これを知ってもサ高住に入居しますか?

Sad elderly marriage with documents

いざという時に必要なサービスが受けられない可能性があります

サ高住に対しては以下のような問題があります。

2-1.夜間の勤務体制に不安

サ高住の考え方の基本は、あくまでも「住宅」です。その住宅に、介護が必要なら外部の介護サービスを利用します。そのため、夜間の人員配置については特に規制はありません。私の知るサ高住は、35名の施設で夜勤者は一人です。正直、その体制でも驚いたのですが、もう一つのチェーン展開しているサ高住は、70名に1人の夜勤者でした。

この体制では、認知症や身体介護の必要な要介護者を診ることは不可能です。というよりも、この体制ではいずれ事故につながると予想されます。

2-2.サ高住は終の住処ではない

家族によっては、サ高住に入所すると安心してしまい、死ぬまで看てもらえると勘違いされる方がいます。そもそも、サ高住は介護が必要な人を診ることさえ不可能な施設です。ですから看取りなどは不可能と考えてください。夜間、70人に1人しか夜勤者がいない状態で、生きるか死ぬかの患者さんをどうやって看るのでしょうか? その時に、残りの69名の方にはどのように対応するのでしょうか?

サ高住での看取りは、不可能であると理解ください。

2-3.GHや特養に比べ、質は悪く、費用は高い

本来は、GHや特養の対象である方が、施設が空いていないためにサ高住に入居される方がいます。知っておいていただきたいことは、GHや特養に比べサ高住は、「サービスの質は悪い上に割高」ということです。ですからサ高住にしか入所できなくても、介護保険の適応があればGHや特養の申し込みをして、空き次第変わることが大事です。だからサ高住は比較的空いていることが多く、待ちがなく入居できるのです。何にでも、必ず理由があることを知ってください。

以下の記事も参考になさってください。

特別養護老人ホームとは・重介護生活の第一選択肢に向く人向かない人

3.サ高住の正しい使い方と、他の施設をおすすめするケースは

ならばサ高住はどのように使うべきでしょうか?

3-1.夜だけ利用

これは、私の患者さんの例です。夫婦二人で生活してたのですが、妻が突然亡くなり、ご主人が一人残されました。子供さんも遠方で生活をされています。ご主人の一人暮らしが心配なため、サ高住に入居。ご主人は、毎日夕食を食べて、サ高住に泊まります。翌朝は朝食をとってからは自宅に帰って、好きなことをして、夕食にはサ高住に帰ります。

離れて住む子供たちにとって、一人暮らしの親で心配なのは食事と夜間です。この不安をサ高住が見事に解決しているのです。しかし、この条件に合うほど、元気で経済的にも恵まれている方は、相当限定されると思われます。

3-2.認知症があればGH入所がお勧め

認知症があれば、できればGHがお勧めです。GHの正式名称は、「認知症対応型共同生活介護」です。そのため、ご家族としては、「親を認知症の施設には入所させたくない。」という気持ちから、サ高住を選ぶ傾向があります。しかし認知症専門医として、介護体制、少人数介護である点から認知症があればGHがお勧めです。その上、費用負担もサ高住に比べ、GHは月額5万円程度安く入所できるのです。

3-3.重度介護は老健・特養

身体介護が必要な、重度介護者は、適正な介護度をつけて老健もしくは特養の入所を考えましょう。まさに、介護力、設備からもサ高住とは比較になりません。その上、費用負担ははるかに老健・特養の方が安いのです。すぐに入所できない場合は、老健・特養の申し込みをしてから、サ高住で待機しましょう。この場合、介護度が重要になります。以下の記事も参考にしてください。

介護認定は変更可?正しい認定がつかない理由と対応法を専門医が伝授

4.誰が間違えている

サ高住の正しい利用法は誰が間違えているのでしょうか?

4-1.経営者

残念ながら、サ高住の経営者は、補助金目当てで参入してきた業者が多いものです。経営的に考えると、介護度の重い入居者を入れるほうが収入は増えます。しかし、サ高住は体制的に、介護度の重い方を診ることはできません。あくまでも生活が自立した軽度者が対象であり、看取りなど不可能に近いのです。

先日も、私が協力医をしているサ高住の経営者が変わり、「今後は、介護度が3以上の人しか入所させない」と言い出しました。介護度3以上がつけば、特養に入所する方がはるかに介護体制も良質で、費用も半分程度で済むことを理解できていない発言だと思います。

もちろん多くの批判と、入所希望者が激減して、発言は撤回されました。

4-2.家族

サ高住は、一見普通のマンションのように見えます。そのため家族としては、「こんな施設なら親も満足するだろう」と勘違いしてしまうようです。身体介護もしくは認知症介護が必要だから家で見ることが出来ないことを認識してください。そのためには、施設のハード面のPRに惑わさせることなく、どういう方法で介護をしてくれるのか第一に考えましょう。その視点で考えれば、サ高住を選択するケースはかなり少ないと思われます。

4-3.ケアマネ

自宅での生活が難しくなった場合、ケアマネは家族から入所する施設を探すことを求められます。正直、すぐに入所できる施設は、サ高住が多いのです。そこで、サ高住の体制と利用者さんの介護状況を検討することなく、安易に入所させてしまうのです。この点は、空室が多く、「誰でも入所させたい経営者」と利害が一致してしまうのです。

5.介護付有料老人ホームとの違い

サ高住と介護付き有料老人ホームとは何が異なるのでしょうか? サ高住は、あくまで「賃貸住宅」であり、介護や生活支援など必要なサービスを選択して生活する場です。これに対し介護付有料老人ホームは、車イス利用となったときの暮らしやすさなど、介護に特化した「施設」のイメージが強いと言えます。

サ高住は、低額の初期費用で入居でき自由に生活できるというメリットがある一方で、介護が必要になった時に移り住む必要があったり十分な介護体制が取れない場合が考えられます。それに対して有料老人ホームは、介護が必要になった時の安心をしっかり得られるというメリットがありますが、初期費用を含め費用は高くなります。

現実的には、介護付き有料老人ホームの方が、サ高住よりも、介護体制は良質です。どちらかを選ぶのであれば、介護付き有料老人ホームの方がお勧めです。但し、施設によって体制やサービスが異なりますので、実際には見学を十分に行うことが重要です。

6.将来は特養とGHだけが生き残る!

サ高住の記事で以下のようなものがありました。

今後も需要の増加が見込まれるサ高住:サービス付き高齢者向け住宅には、国から補助金制度が設定されているため、これからさらに民間企業が参入する可能性が高いと見られています。また、高齢者や要介護者の増加が見込まれていることから、それに比例して、サ高住の数も増えていくでしょう。一般住宅に近い生活を送ることができ、暮らしの不安や心配事をサポートしてくれるサ高住は、「身の回りのことはある程度自分でできるので、安否確認と生活相談サービスを受けながら、自分らしく暮らしたい」という高齢者にぴったりの施設であるといえるでしょう。

以上のような記事は、サ高住を作る建築業者が紹介していることが多いものです。彼らにしてみれば、何でもよいので建築件数が増えれば、利益につながります。専門医としては、サ高住はその体制からも、とても中途半端なものと思われます。最終的には、特養とGHのみが世の中で生き残るのではないかと思います。

7.まとめ

  • サ高住は体制は、特に夜間帯などは70名の入所者を一人の夜勤者で看るような不十分なものです。
  • サ高住では認知症介護や身体介護が必要な方は、介護体制は不十分です。
  • あくまでサ高住は、一時的にGHや特養の入所を待つ施設と考えましょう。
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