アリスのままで・・やっぱり消化不良?

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封切りしてすぐに見たかったのですが
上映映画館が少なく、
公開も短期間で終わってしまった
“アリスのままで”をDVDでみました
やはり認知症専門医としては観ないわけにはいきません

以前にも紹介したように、
映画が取り上げられる認知症は
65歳以下で発症する若年性です。
この映画も若年性で
主人公は50歳で発症しています。
アリスのように特に発症年齢が若い場合は
遺伝性であることが多いものです。
アリスのケースは、プレセネリンの遺伝子異常とされていました。
日本では子供たちに話をすることは躊躇するのですが
映画内では、親の責任として3人の子供に遺伝する認知症であることを話していました。
結局2人の子供が遺伝子診断を受け、
長女は遺伝子陽性、長男は陰性、次女は検査を拒否。
その後の子供たちの人生を考えると・・
そのため遺伝子診断を拒否した次女の気持ちもよくわかります。

若年発症の場合、進行は急激です
映画の中では、自宅のトイレの場所が分からなくなり
尿失禁してしまう場面も描かれていました。
私の外来でも自宅内で迷子になるのは
若年発症の方が殆どです
服を着ることができなる着衣失行も描かれています。
奥さんが着衣失行になった場合、
ご主人が服を着せることは大変です。
男性が奥さんの服を着せる?
皆さんできますか?

アリスは、前もって将来の自分に対して
認知症が進行した場合は、自殺をするように
メッセージを送っています。
しかし、進行したアリスは
自殺を遂行することもできないほどに
認知症が進行してしまっていました。
認知症のような神経変性疾患の場合、
自殺しようとするときには
自殺することさえできない状態が多いのです

アリスのご主人は医師であり経済的問題はなさそうでした
そのためへ介護者を雇ったり
施設への入所も検討されていました
現実にはここが相当のハードルになります。
現在の日本であれば、年金等で1人15万円以上なければ
介護は成立しないともいえます。
さらにアリスの症状が進行するという場面で
映画は終了しました。
いつも通り専門家や認知症ご家族にとっては
消化不良です。

ここからが介護の本番です。
被害妄想
幻覚
易怒性
暴力行為
拒食
過食
異食(時には便を食べることさえ・・・)
介護者の負担は想像を絶します

さらにどこかで食事を摂らなくなります。
ここで胃瘻を入れるか否か?
この選択は、すべてご家族に任せられます。
胃瘻を導入すれば、
いわゆる“植物状態”が10年以上続くこともあります。
さすがに、ここまでは、映画で描けないようですが、
これが現実です。

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