最も効く薬がシェア10%以下!・・戦略ミスは戦術で補えない!

2013-04-05

認知症の治療薬には、簡単に分けるとアクセル系とブレーキ系に分けられます。特にアクセル系はコリンエステラーゼ阻害剤として、アリセプト、レミニール、イクセロン/リバスタッチパッチの3種類があります。1999年にアリセプトが発売され、2011年にレミニール、イクセロン/リバスタッチパッチが発売されました。実は、認知症の専門医の間では、『3種類の中で何が最も効果がある?』という質問に対しては、ほぼイクセロン/リバスタッチパッチに見解が統一されています。

理由としては、2つあります。一つは、言語野の血流改善により言葉が良く出るようになること。2つ目が、快・不快を司る扁桃核の機能改善により、意志がはっきりすることです。患者さんのご家族としては、意志がはっきりして言葉が出るようになるので、喜ばれることが多いのです。ですから本来はイクセロン/リバスタッチパッチが販売シェアを伸ばしてもおかしくありません。しかし現実には、1年以上たっても販売シェアは10%以下です。

この原因は、製薬メーカの明確な戦略ミスがあります。販売しているメーカの一つはノバルティスファーマ株式会社です。この会社は、スイスに本社を持ち売上規模では世界2位です。つまり会社としては、どうしても強者の戦略を取ってしまいがちです。そのため、販売当初も東京に全国から医師を1000人ほど集めるような派手な講演会を繰り返していました。しかし、そのような講演会では演者の医師も本音を話せません。聞く側も緊張感が薄れます。結果として、殆ど販売シェアには効果がありませんでした。

ノバルティスファーマに理解してもらいたいのは、認知症治療薬の中では弱者であることです。弱者は弱者の戦略として一点集中で行くしかないのです。最近は、ようやく戦略ミスに気が付き、軌道修正を図っているようです。戦術ミスは戦略で補えますが、戦略ミスは戦術で補えません。戦略が間違っている状況では、営業がどれだけ頑張っても無駄です。製薬メーカの戦略ミスは、せっかく効果のあるイクセロン/リバスタッチパッチが多くの患者さんに使われないという弊害にまで及びます。


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今後のノバルティスファーマの戦略に期待するとともに、微力ですが医師会等の講演で協力して行きたいと思っています。

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