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2008年3月22日(土)岐阜新聞掲載
素描 認知症には段階がある
“認知症患者”と聞くと、各人がいろいろなレベルの人を思い浮かべるようだ。認知症はレベルに応じて3つの段階に分ける事ができる。
1番目は「早期認知症」レベル。このレベルでは、一見すると認知症とは感じられない。社会生活も自立している。一般的に行われる認知症検査も正常。 しかし、より詳細に前頭葉機能を検査すると低下している状態である。このような人々は、放置すると認知症に進行する。逆にこのレベルで、適切な薬物治療や 脳リハビリを行うと、認知症への進行をかなり防ぐことができる。
2番目は「認知症の中核症状」レベル。認知症の症状は、中核症状と周辺症状に分けられる。中核症状とは、いわゆる物を記憶して、保持して、それを表 現することが障害される。しかし、この段階では、周りの家族も「また同じ事を言っている」といった程度で“実害”がないため、放置されることが多い。専門 家の立場では、この段階で受診していただけると、認知機能障害への対応が可能である。
3番目は「認知症の周辺症状」レベル。中核症状がさらに進行すると、周辺症状が出現する。周辺症状には、幻覚、妄想、徘徊、人格変化、暴力行為など がある。この中では特に「お金を盗られた」といった被害妄想の頻度が多い。被害妄想は家族内のトラブルになることも多く、 “実害”が出現する。この段階では周辺症状のコントロールが主体となり、認知機能障害自体の治療は困難となる。さらに周辺症状のコントロールも悪いと在宅 介護が困難となり、施設入所も考慮せざるを得ない。
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