認知症とは

家族が認知症になったら

患者さんへの関心

認知症の患者さんを持つご家族に一番お願いしたいことは、関心を持つことです。関心を持って症状を観察し、それを専門家に相談することで、適切な対応ができます。

当院には100km以上離れたところから通院されている認知症の患者さんもたくさん見えます。遠方から来られる患者さんは、症状がよくなることが多いようです。遠方からわざわざ患者さんを連れてこられる家族の存在が大きいのです。

ご家族が認知症の患者さんに関心を持ち、少しでもよい治療を受けられるようにと、時間をかけて患者さんを送迎されている。そういうご家族の理解によって患者さんはとてもよくなられます。認知症の患者さんを持つご家族には、ぜひ患者さんと認知症という病気に関心を持っていただきたいと思います。

薬や施設に頼ることの重要性

認知症の患者さんにとって、家族の方のサポートはとても重要ですが、家族の方がその介護で疲れてしまったり、生活や健康を害してしまっては本末転倒です。

家族全員がお仕事を持たれていて、昼間は家に誰もおらずテレビを見るだけという生活をしていたら認知症は確実に進行します。自分の親をグループホームなどに預けるというのは、多くの人にとってはできれば避けたいと考えられるでしょう。しかし、一日中誰とも会わずに一人で家にいて認知症が進行するのと、グループホームで多くの人たちと接しながら病気が回復し、元気に過ごされることを考えると、グループホームに入れることが本人にとっても家族にとっても良い選択と言うことも少なくありません。

最近は、認知症の各症状をとてもよく抑える薬があります。ほんの少しの薬で、これまで毎日とてもつらい思いをしてきた家族や本人が、楽になることが可能です。周辺症状には、家族への攻撃や被害妄想などがあります。それまでとても穏やかだったおじいさんが、怒りっぽくなり暴力を振るうようになったり、おばあさんがお嫁さんに「盗んだお金を返せ」と言ったりするのも典型的な周辺症状です。
言われた方ももちろんつらいですが、患者さん自身も幻覚や妄想によってそういうことを言ってしまったりやってしまっているのだとすれば、本人も望んでいることではありません。薬でそう言う症状をコントロールするのは、この先長く、病気や患者さんとつきあってゆく上で、非常に有効な手段です。

認知症レベル評価

認知症のレベル評価は、その後の治療や対応方法を決める上でとても重要です。認知症のレベル評価をするためには、頭のCT調査、複数の質問形式の評価テスト、問診などを行います。所要時間は1時間程度です。

認知症テスト

認知症レベル評価のためのテストです。マニュアルを読んでから、テストを行ってください。